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住宅業界に迫る「2025年問題」を乗り越え、成長軌道に乗るための緊急対策

 

本コラムをお読みいただきありがとうございます。

船井総合研究所 住宅・リフォーム支援部 マネージングディレクター 日野信です。

 

資材価格の高騰、人手不足、そして顧客ニーズの多様化など、住宅業界を取り巻く環境は常に変化しています。特に近年は、ウッドショックに端を発する価格上昇に加え、「住宅性能」への関心が高まり、供給サイドである皆様には、単に家を建てるだけでなく、より高いレベルの性能基準への対応が喫緊の課題となっていることでしょう。厳しい住宅業界の状況に加え、「2025年問題」が更なる追い打ちをかけています。この問題は、今後の住宅業界のあり方を根本から変え、皆様の経営戦略に大きな影響を与える可能性を秘めています。

しかし、同時に、この変化にいち早く適応し、むしろチャンスと捉えることで、競合他社に差をつけ、さらなる成長を実現することも可能であると、船井総研では考えています!

本コラムでは、この「2025年問題」の核心に迫り、大手住宅メーカーが今この問題にどのように対応しているか、また皆様が取るべき具体的な対策の方向性について解説いたします。

 

住宅業界に立ちはだかる「2025年問題」の正体

さて、住宅業界で囁かれている「2025年問題」とは一体何でしょうか?これは主に、2つの大きな法改正と、国の重要な施策が組み合わさることで生じる、住宅事業者にとって避けては通れない変化の波です。

まずは、その2つの法改正と、国の施策について説明いたします。

 

①省エネ基準適合義務化

②4号特例の縮小

③GX志向型住宅補助金

 

これらの変化は、特に地域密着で事業をされている工務店や住宅会社様にとって、設計、施工、仕入れ、そして営業といったあらゆるプロセスに影響を与える可能性があります。

 

省エネ基準適合義務化がもたらす変化

まず、省エネ基準適合義務化についてです。

これは、これまで任意であった住宅の省エネルギー基準への適合が、2025年4月以降に着工する全ての新築住宅に義務付けられるというものです。これは、日本の住宅の省エネ性能を底上げし、脱炭素社会の実現に向けた国の重要な一歩です。

この新しい基準のポイントは、最低限クリアすべき省エネ性能のレベルが「断熱等級4以上」となることです。これは、現在の基準から見ても一定レベルの断熱性能を要求するものであり、これまで省エネ性能にそれほど力を入れてこなかった事業者様にとっては、仕様の見直しが不可欠となります。

今回の義務化は、単なる基準クリアに留まらず、設計・施工プロセスの変革、建材・設備の見直しによる価格上昇を招く可能性があります。さらに、社員の知識・スキル向上といった人材育成や、経営全般にわたる課題も生じさせるでしょう。

 

4号特例縮小による業務への影響

次に、4号特例の縮小についてです。

一定規模以下の木造住宅などを対象に、建築基準法上の構造・省エネに関する審査を一部簡略化する特例措置が、見直されます。

2025年4月以降に着工する住宅については、これまで4号特例の対象であった住宅の一部も、省エネ基準への適合審査や構造計算の審査を受ける必要が出てきます。これにより、確認申請に必要な図面の種類が増加し、申請手続きがより厳格化されることが予想されます。

これは、設計部門や申請業務を担当する部門にとって、業務量の増加や新たな知識の習得が必要になることを意味します。また、確認検査機関との連携や、設計・施工の精度管理もこれまで以上に重要になります。申請業務の遅延は、着工の遅れや顧客とのトラブルにもつながりかねません。

 

見逃せない!過去最大クラスの「GX志向型住宅補助金」

一方で、「2025年問題」は単なる規制強化だけではありません。国は、住宅の省エネ化・脱炭素化を強力に推進するため、「GX志向型住宅補助金」として、過去最大クラスの補助金を準備しています。

これは、高い省エネ性能を持つ住宅、特に「GX志向型住宅」と認められる住宅の建設に対して、手厚い補助を行う制度です。省エネ住宅が強く求められる時代において、この補助金をいかに活用できるかが、今後の競争力を左右すると言っても過言ではありません。

このGX補助金を取得するためには、いくつかの条件があります。主な条件は以下の3点です。

 

①断熱等性能等級が6以上であること

⇒これは、省エネ基準適合義務化の最低ラインである断熱等級4を大きく上回るレベルです。

②再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量35%以上の削減

③再生可能エネルギーを活用した一次エネルギー消費量を100%以上削減

 

これらの条件を見ると、GX補助金は、単なる「省エネ住宅」ではなく、「高性能省エネ住宅」かつ「再生可能エネルギーを活用した脱炭素住宅」を目指すためのものであることが分かります。断熱等級6の基準レベルとして、地域に応じた具体的な試算例も示されています。

この補助金は、高性能住宅を検討する顧客にとっては大きな魅力となり、事業者はこの補助金を活用することで、高性能住宅の提案を強化し、受注につなげることができます。

しかし、そのためには、自社で供給できる住宅の性能レベルを、断熱等級6以上、一次エネルギー消費量大幅削減といった基準まで引き上げる必要があります。

そして、これは一過性の変化ではありません。2030年には省エネ基準がさらに引きあがる予定です。つまり、省エネ・脱炭素化への流れは今後も加速していくのです

 

生き残りの鍵:変化への適応と「GX志向型住宅」への戦略

これらの「2025年問題」が突きつける課題は、地方で事業をされている住宅会社・工務店の皆様にとって、決して小さくありません。しかし、これは同時に、経営を見直し、未来への投資を行う絶好の機会でもあります。

 

改正省エネ基準への具体的な対応策

省エネ基準適合義務化に対応するためには、具体的な対策が必要です。一次エネルギー消費量を削減するための方法として、以下のような要素が挙げられています。

 

◇Low-Eガラスで熱損失を削減

◇建物の気密性を改善

◇エネルギー効率の高い家電製品の使用(冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)

◇LED照明の導入で消費電力を削減

◇高性能給湯器の導入で給湯エネルギーを節約(エコキュート、エコジョーズ、ハイブリッド給湯器など)

 

これらの要素を組み合わせ、自社の標準仕様として取り入れていく必要があります。特に断熱・気密性能の向上は、建材選びから施工方法まで、現場のオペレーションにも直結します。

 

「GX志向型住宅」に取り組む経営的意義

そして、GX志向型住宅補助金の活用は、単に補助金を受け取るというだけでなく、皆様の事業にとって非常に大きな意味を持ちます。

競争が激化する住宅市場において、GX志向型住宅のような高性能住宅への取り組みは、課題解決の有効な手段となります。

もっとも、高性能住宅に対応しようとすると、初期費用が嵩むのではないかという心配もあるでしょう。しかし、長期的に見れば光熱費の削減や快適性の向上により、住まい手にとって大きなメリットをもたらします。そして、国が補助金で後押しするということは、市場全体のニーズも今後、高性能住宅へとシフトしていく可能性が高いことを示唆しています。

 

この波に乗り、GX志向型住宅を主力商品の一つとすることで、

★高単価商品を提案できるようになり、粗利率の向上につながる

★競合との差別化が図れるようになり、受注競争において優位に立てる

★これまでの客層とは異なる、高性能住宅を求める顧客層を獲得できるようになるため、顧客単価の上昇が見込める

経営的なメリットとして、様々な恩恵が期待できます。

 

対策への第一歩:まずは「自社」と「商圏」を知ることから

では、この大きな変化に対してまず最初に取り組んでいただきたいことは、「自社の地域区分/断熱性能を抑える」ことです。

皆様の事業エリアがどの地域区分に該当するのか、そして現在提供されている標準的な住宅の断熱性能はどのレベルにあるのか。Ua値や一次エネルギー消費量といった指標を用いて、客観的に把握することが出発点となります。

その上で、「自社の商品がどの性能に値するのか?」、「自社の商圏ではどこを目指せばいいのか?」を検討していきます。省エネ改正基準の義務化レベル(断熱等級4以上)をクリアすることは最低限必要ですが、GX志向型住宅補助金の対象となる断熱等級6以上を目指すのか、それともさらに上のレベルを目指すのかは、皆様の経営戦略や商圏の顧客ニーズによって判断が分かれるところです。

そして、目指すべき性能レベルを定めたら、その基準を満たすために対応すべき部分を優先的に対応していく必要があります。これには、設計仕様の見直し、使用する建材や設備の選定、そして協力業者様との連携強化などが含まれます。

 

性能向上と経営安定化の両立:適正な仕入れと商流の見直し

性能を上げる上で、見落としてはならないのが、「ただ性能を上げるのではなく、適正な仕入れを意識する」ことです。よくある例としては、性能を上げるために原価が上がってしまうケースや、無理な仕入れによって安定供給ができなくなるケースが挙げられています。

高性能な建材や設備は、どうしても一般的なものより高価になりがちです。

しかし、闇雲に高価なものを採用するのではなく、コストパフォーマンスを考慮した最適な部材を選定すること、複数の仕入れ先と良好な関係を築くこと、そして不測の事態(例:過去のウッドショックのような供給不安)にも対応できるよう、「商流の見直しを検討する」ことが、経営の安定化には不可欠です。

これは、単に安く仕入れるということではなく、品質、価格、納期、そして安定供給といった様々な要素を総合的に判断し、自社の経営を守るための戦略的な取り組みです。
 
 

船井総研がお手伝いできること

私たち船井総合研究所は、このような住宅業界の大きな変化に対し、多くの事業者様と伴走し、成長を支援してまいりました。

 

①自社の商品(≒商流)の見直し

地域区分や省エネ基準、GX補助金の要件を踏まえ、貴社の強みを活かしながら、採算性も確保できる最適な商品仕様を共に開発します。また、安定供給とコスト適正化のための仕入れ・商流戦略についてもご提案させていただきます。

 

②集客と営業を見直し

高性能住宅は、その価値を顧客にしっかりと伝える必要があります。どのようなターゲット層に、どのようなメッセージでアプローチし、どのように契約に繋げるか。集客から契約までの営業プロセス全体を、貴社の現状に合わせて最適化します。

これらの取り組みを通じて、単に基準を満たすだけでなく、この変化を確実に業績向上に繋げるためのロードマップを、皆様と共に描いていきます。

 

未来への投資としての「GX志向型住宅」

2025年問題は、確かに多くの課題を含んでいます。

しかし、視点を変えれば、これは住宅会社がその商品力、技術力、そして経営力を向上させる絶好の機会です。高性能で、環境にも配慮した「GX志向型住宅」は、これからの時代において、顧客から選ばれるための必須条件となっていくでしょう。

この大きな変化に対応し、未来への投資としてGX志向型住宅に本格的に取り組むことは、短期的なコスト負担に見えるかもしれませんが、長期的な経営安定と成長、そして地域社会への貢献につながります。

 

変化を乗り越えるための羅針盤:GX志向型住宅緊急対策レポート

さて、本コラムでは、「2025年問題」の概要と、皆様が取り組むべき対策の方向性について、ソースの内容に基づき解説してまいりました。しかし、法改正の詳細、GX補助金の具体的な活用方法、そして自社の現状に合わせた具体的な対策立案には、より詳細な情報と専門的な視点が必要です。

そこで、皆様に強くお勧めしたいのが、本コラムの基にもなっている『GX志向型住宅 緊急対策レポート ~住宅業界における2025年問題の解説から対策まで~』です。
 

このレポート1冊で、2025年問題の背景と詳細、省エネ基準や4号特例の見直しによる影響、そして過去最大級のGX志向型住宅補助金の全貌がわかる内容となっております。

また、船井総研として皆様の課題解決にどのように貢献できるかについても、具体的にご説明させていただいております。

 

『GX志向型住宅 緊急対策レポート ~住宅業界における2025年問題の解説から対策まで~』の概要

 

◇2025年問題の全体像と経営への影響

◇改正省エネ基準の具体的なポイント(断熱等級、Ua値、ηAC値、一次エネルギー消費量、地域区分など)

◇4号特例縮小による確認申請等の変更点

◇GX志向型住宅補助金の条件と活用メリット

◇省エネ性能向上に向けた具体的な対策例

◇自社の商品・商流・集客・営業を見直すためのヒント

 

このレポートは、まさに来るべき2025年以降の住宅業界を生き抜くための、そして成長するための羅針盤となります。ぜひ以下のリンクより、レポートをダウンロードいただき、貴社の経営戦略にお役立てください。
 
 

結びに

2025年問題は、住宅業界にとって大きな転換点となります。

しかし、変化を恐れる必要はありません!適切な知識を持ち、早期に対策を講じることで、この変化をむしろ追い風に変えることができます。高性能なGX志向型住宅は、これからの住宅市場の主役となり、地域の皆様からの信頼をさらに厚くする武器となるでしょう。

私たち船井総合研究所は、地域密着で奮闘されている住宅会社・工務店の皆様の味方です。共にこの変化を乗り越え、持続的な成長を実現していきましょう。レポートが、その最初の一歩となることを願っています。

今後とも、船井総合研究所にご期待ください。
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