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最新住宅業界動向コラム / 商圏・業績データ

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住宅業界2024年の時流予測とその対策

2024年の住宅業界全体の時流予測をまとめると下記の3つになります。
・倒産廃業やM&Aなどにより業績の二極化は一段と進む
・集客は2023年よりも少なくとも1割は減少する
・価格高騰により商品の差別化が弱くなりより営業力が重要となる

これは決して住宅業界だけに当てはまることではありません。業界全体の市場が縮小すると、お客様に支持されない企業は淘汰され、お客様に支持される企業だけが生き残ります。生き残ることは重要です。しかし、企業数が減り生き残れた世界は、それまでよりもより競争が激しくなります。なぜなら、お客様から支持されている企業しか残っていないからです。スポーツに例えると、予選リーグではなく決勝リーグで戦うような感覚です。そして行きつく果ては、家電業界に象徴されるように市場には数社の企業しか存在しなくなります。

これまで船井総研では「市場も減少しますが企業数も減少するので1社当たりの割り当ては同じです。なので市場縮小をネガティブに捉える必要はありません」とお伝えしていましたが、現実は違いました。市場は縮小しているにも関わらず、地域のトップビルダーの売上は伸びていったのです。その要因は2つあります。ひとつは市場が縮小すればするほど地域一番店にお客様は集まります。もうひとつは決して強者同士でパイを奪い合っているのではなく、弱者のパイを奪って伸びているのです。なので、業績の二極化が進むのです。基本的に住宅ビジネスはリピートがありません。そうなると住宅業界で持続的に売上を伸ばしていくには、その地域で建っている新築住宅の着工棟数のパイの奪い合いで、自社のシェアを上げていかなければならないのです。そこで今回のコラムでは、住宅業界全体の2024年の時流予測とその対策について一緒に考えていきましょう。

集客は増えないという発想に切り替えること

2023年に引き続き、2024年も住宅業界の市況的には1店舗当たりの集客数は増えません。勿論、まだまだ伸びしろがあるところや、きちんと対策を取れば現状維持もしくは増加は可能ですが、現実的に1割は減少するつもりで事業計画を立てるべきでしょう。これまでは集客を増やせば、それに応じて契約も増えるというのが一般的な考え方でしたが、これからは集客が増えなくても契約を増やしていかなければならないフェーズに突入していきます。つまり、契約が増えないのは集客が増えていないからという、これまでの発想の転換が必要です。「今月は5組しか新規集客がなかった…」ではなく「5組しか新規集客がなかったけどその5組から1組契約を取るにはどうすべきか?」という捉え方をしない限り、ずっと集客という青い鳥を追い続けることになります。

因みに、集客は増えないとお伝えしましたが、年々集客コストは上がっています。集客は減っているのに集客にかかるお金は増え続けているという真逆の構造です。集客が増えないから販促費用を抑えるのではなく、むしろ販促費用は増やさなければなりません。業績の二極化について冒頭で書かせていただきましたが、業績が二極化する最初の要因は、適正な販促費用をかけられるかどうかなのです。当然、儲かっていなければ費用はかけたくてもかけられません。費用をかけなければ集客はありません。残酷ですがこれが実情です。この悪循環には陥らないようにしなければなりません。

ではなぜ販促費用は増えているのでしょうか。10年ほど前の新規来場コストは2~3万円でした。なので、チラシに50万円の費用をかければ、チラシから少なくとも10~15組の新規来場を確保できていました。今はどんなに良くても5万円。一般的には10万円はかかります。よってチラシから5組来場があればそれはヒットチラシです。このように時代の変化とともに、ひとつの媒体あたりの来場コストが上がっているのと、チラシ以外にリスティング広告やインスタ広告で情報発信するためのバナーと広告文の作成、配信設定と管理。そうした広告からの飛び先になるイベントページの工夫と更新頻度の増加など、費用だけでなく手間もかかるようになっているからです。チラシを作成して土曜日の新聞朝刊に折り込んだらいいという単純な業務ではなくなっているのです。そのことによって、社長や営業マンが業務の片手間ではできなくなり、社内でそのような人材の採用、専門業者に外注するなど間接部門にも費用がかかっています。

住宅会社が持続的に成長していくための2つの数字

そのような集客に依存できない中、住宅会社が持続的に成長していくには2つの数字が需要になります。それは、適正な商談数の確保と契約率です。適正な商談数の理想は、営業1人当たり月間5〜6組の新規商談があれば月1棟契約できる状態であることです。契約率としては15〜20%ですが、そもそも契約率15%がキープできなれば事業計画は破綻します。さらに、契約率が一桁の営業マンに関しては残念ながら新規客はつけられません。理由は、新規商談コストは年々上がっており、仮に契約率5%の営業マンだと1組契約するために20組の新規商談が必要となり、会社として儲かりません。なによりその営業マンに20組の新規商談させるために何ヶ月かかるのか?という問題もあり、営業1人当たり月間5組の新規商談だとしても4ヶ月もかかってしまいます。

集客を増やせば契約も増えるのは、会社(店舗)として平均契約率が15%を超えているところだけです。それ以外のケースで、契約を増やすために集客を増やすという発想は危険です。集客を増やすよりも、確実に契約を取っていくために、予約から来場までにやるべきこと。初回商談でやるべきこと。次アポの取り方。契約までの営業フローを整えるべきです。また、この商談数と契約率には相関関係があります。平均契約率が15%を超えているとしても、闇雲に集客を増やそうとするのは逆に契約率の低下を招きます。なぜなら、営業1人当たりの月間新規商談数が6組を超えると契約率は15%を超えなくなるからです。なので、そうした場合に必要なのは集客数だけでなく営業の増員です。

集客が増えない時代における集客目標の立て方は、営業人員×月間新規商談数3~5組。営業3名体制の店舗であれば、月間に必要な新規商談数は9~15組で、年間で108~180組。平均契約率が15%だとしたら、月間契約数は1~2組となり年間契約数で16~27組。客単価を2000万円で試算するとしたら、1店舗当たりの売上は3.2~5.4億円となり、そのためにかけるべき年間販促費としては、約1000~1600万円は最低でも必要です。これが平均契約率10%だとしたら、月間契約数は0~1棟となり年間10~18棟。客単価は同じく2000万円で試算すれば1店舗当たりの売上は2.0~3.6億円で、年間販促費は約600~1100万円必要です。当然ながら契約率が5%違えば売上は1.5倍変わります。なので、集客ありきで事業計画を立てるのではなく、契約率ありきで事業計画を立てるべきなのです。(コラム掲載不要→)2024年の住宅業界全体の時流予測の3つめは、価格高騰により商品の差別化が弱くなりより営業力が重要となるとは?

今は集客数の差より営業力の差が業績の差

冒頭にお伝えしました、2024年の住宅業界全体の時流予測の3つめは、価格高騰により商品の差別化が弱くなりより営業力が重要となるということです。今は集客数の差が業績の差になるより、営業力の差が業績の差になっています。その営業力には商品力が大きく影響しています。平均契約率が15%以上の会社は、ゴリゴリ営業マンの猛者たちがいるわけではありません。個人の能力には限界があり、平均契約率15%としても、個人の能力に依存するのは10~13%ほどで、残りは商品力が影響しています。要は、営業が売りやすい商品であったり、競合他社と比べて競争力のある商品であるということです。あとは、営業がその商品を本気で惚れ込んでいるという点。特に、営業が売りやすい商品であるというのは重要です。

しかし、この商品力もウッドショック等により資材高騰で他社との優位性どころか、差別化自体が難しくなっています。だからこそ、営業が売りやすい商品というのが最大のストロングポイントになるわけですが、ここに来て、営業個人の重要性が増しています。そもそも住宅業界では、契約の決め手の一番は営業担当者に対する評価です。基本的に同じターゲットに向けて同じ商品を提供しているのに、営業マンごとで成績が違うのは営業マン自身にあります。また住宅業界全体の集客が減少していることで、競合他社も相当に商談の準備をしてくるようになっています。そして、1件1件にお客様対して粘り強くなっていますし、なにより営業力のない営業マンに対応させても費用対効果が上がらないため、トップセールスの商談件数が増えています。他社の営業がへまこいて棚ぼたで契約できたなんていう事例は減っています。それは、へまこくような営業マンに対しても均等に商談機会を与えることが、経営面で困難になっているからです。

集客ありきで事業計画を立てるのではなく、契約率ありきで事業計画を立てるということは、ロープレや商談準備はしなければならないからするという自分目線ではなく、競合他社の営業マンは当然のように行っているからするという他者目線が必要なのです。

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