CONSULTING COLUMN
最新住宅業界動向コラム / 商圏・業績データ
「ターゲットにしているのは子育て家族なんだけど、現状、子育て家族向けに新築住宅を提供しているイメージが弱く、実際に子育て家族の集客が少ないんだけどどうしたらいいか?」とある住宅会社の社長から相談を受けました。もしコンサルタントという立場だとしたら、皆さんだったらどのようなアドバイスをしますか?
私がお伝えしたのは、即効性を求めるなら、インスタやYouTubeなどで子育て家族向けに情報発信しているインフルエンサーとコラボすることです。具体的には、一緒にイベントを行う(自社が行うイベントを手伝ってもらう)ようにして、自社発信のチラシやウェブ広告、SNS広告で告知するのと、そのインフルエンサーにも情報発信してもらうことで、一時的に認知度は上がります。いやらしい言い方ですが、認知力と認知にかかるスピードをお金で買うという選択です。
この方法は正攻法であることには違いありません。ただデメリットは、継続的にこうしたイベントを行っていくのであれば効果も続きますが、1回きりの単発だけだと持続可能な認知手法ではないということ。開催回数も大事ですが、毎年春に行うなどの定番化が重要です。私がもうひとつお伝えしたのは、即効性は期待できないかも知れませんが、費用をかけずにターゲットに対するイメージを訴求できる方法をお伝えしました。それは…そこで今回のコラムでは、自社のターゲットにリーチするためにお金をかけずに今すぐできる具体的な内容について一緒に考えていきましょう。
自社が設定するターゲットにリーチするというのは、経営戦略上とても重要です。これまでは「取り敢えず家を建てたい方」「とにかく安い家を建てたい方」「やっぱり自然素材の家を建てたい方」という表現でターゲットにリーチできていましたが、今はそんな大雑把な表現では大量の広告に埋もれてしまい、ターゲットにリーチするどころが、気づいてももらえません。気づいてもらえないということは、興味を持ってもらうもらえないの前に存在していないのと同じです。
近年、業績不調の住宅事業に共通するのはターゲットが不明確ということです。いくら住宅のスペックが高くても、それはどのようなお客さまをターゲットにして、どうメリットを感じてもらうのか?というのがわかりません。わからないということは伝わりません。伝わらないということはリーチもできていません(届いてもいません)。これまで住宅商品の差別化は主に商品スペックでした。どのような工法で?どんな断熱気密性能で?なぜ耐震等級3なのか?これだと商品訴求で、本来の差別化ではありません。と言うよりも、よほどの特殊性や自社のブランド力がない限り、商品だけで差別化できる時代ではもうないのです。
では、今は何で差別化すべきでしょうか?それはターゲット(客層)です。どのようなお客さまに自社は選ばれているのか?を訴求することで、それ自体が差別化となります。ターゲットで差別化するコツは、すべてのお客さまに好かれるのをあきらめることです。すべてのお客さまから均等に支持されるのではなく、ある特定のお客さまから熱狂的に支持されればいいという割り切りです。
例えるなら、店主の癖が強くて好き嫌いがハッキリする味のラーメンを提供しているお店です。全国的に展開しているとなると「天下一品ラーメン」が近いかも知れません。私は昔からここのラーメンが好きで、定期的に食べたくなります。ただ、チェーン店なのに店舗によって味のクオリティーがバラバラだったり、そもそもフーフーしながら熱々のラーメンを食べたい方にとっては邪道に見えるかも知れません。でも一部のユーザーに圧倒的に支持されています。その中で好みは分かれるかも知れませんが、にんにくともやしたっぷりの「家系ラーメン」もそうかも知れません。とにかく、毎日食べてもあきないラーメンも特徴がありますし、たまに食べたくなるラーメンも特徴があります。それを決めるブランドの背景にあるのはターゲットです。
ターゲットで差別化するためのステップは、どんなターゲットから好まれるかを決めることからです。それによって商品のコンセプトもカタチも変わります。それが決まれば、そのターゲットに対してどのようにリーチしていくべきかを考えます。ターゲットを決めずに曖昧なまま商品開発を行うと、必要以上なオーバースペックで、素材や仕様を選ぶのも軸がないのでブレ続けます。そんなブレ続けた状態で進めていくと、一般的には良い家だけど誰にとって家なのかがわからなくなります。これが業績不振の第一歩です。
冒頭にお伝えした即効性は期待できなくとも、費用をかけずにターゲットに対するイメージを訴求できる方法とはお客様の声と施工事例の魅せ方を工夫することです。
注文住宅会社のウェブサイトで閲覧数が多いページは施工事例です。では、お客さまはどのような目的(意識)で施工事例ページを見ているのでしょうか?いくつか考えられますが、大きくは「どのような家を建てているのだろうか?」という建てている家に興味があるのと、もうひとつは「どのような人が建てているのだろうか?」という建てた人に興味があるのとのふたつです。
この2点は両方大事ですが、オススメは建てた家と建てた人が両方一度にわかるコンテンツにすることです。具体的には、どのような雰囲気のご家族がどのようなことに響いてその会社で家づくりを行うことになったのか?というストーリーが理解でき、実際の建物も写真で感じられるというものです。要は、お客さまの声と施工事例の融合です。家具も配置されていないがらんどうでは魅力的には映りませんし、なにより建てている家に興味がある人の要望を満たすことはできません。がらんどうの施工事例だけだと得られる効果は10点です。家具が配置された施工事例だと50点です。そこに実際のお施主さまに出てもらうことで、建てた人への興味を満たすだけでなく、より自社のターゲットが明確化になることで差別化できます。ただお施主さま入りの施工事例だと80点です。100点に向けて足らない20点はバリエーションです。要は施工事例の数です。なので更新が重要なのです。
お施主さまに許可を取るのは大変です。だからこそ実際に数多くの建てたお施主さまが入った施工事例ページにすること、見たお客さまが会社と建てたお施主さまの良好な関係性を感じるはずです。それが自社のブランディングにつながります。ぜひ、自社がターゲットするお客さまにリーチするためにも、お施主さま入りの施工事例ページに挑戦してください。
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