CONSULTING COLUMN
最新住宅業界動向コラム / 商圏・業績データ
12月は4回に亘り2024年の住宅業界の時流予測をお伝えさせていただきます。前回の2回目は商品と集客の時流予測でそれぞれのトピックスを簡単に要約すると、商品に関しては①商品の販売価格帯は二極化する②嗜好性×ニッチ商品のニーズが高まる③儲かる家が最重要の経営指数となる。集客に関しては①2023年より集客数は減少する②直接来場より間接来場の重要度が増す③結果分析が集客の生命線になる。ということで、市場や地域性などの外部要因を原因にするのではなく、自社の変革が必要であるとお伝えしました。
これまでとは異なり、集客にお金がかかる時代になっています。土曜日の朝刊に見学会チラシを折り込んで2日間で来場50組(来場単価1万円)取れた時代にはもう戻りません。言い方を変えると適正な費用をかけないと集客が取れないということです。住宅ビジネスは販管費で20%はかかるため、粗利率で30%は確保しなければ集客に費用を使うことができなくなります。集客がなく契約が取れていないから集客に費用をかけることができないという悪循環に陥る前に、今できる対策を講じなければなりません。集客が減少するのは決してネガティブに捉える必要はありません。業績に直結する集客は、10年前は集客「数」が重要でした。それが「数」が多いことより見込客の「数」(有効率)が重要になりました。今は来場「単価」が重要になっています。なので、集客は単に数を追い求めなくても業績には直結しなくなっているということなのです。
営業においてはこれまでは契約率10%がひとつの指標でしたが、それも変えていかなければなりません。何より集客が減っているためひとりの営業マンに10組の新規客を配客すること自体難しく、経営面では10組集客して1組の契約では儲かりません。集客環境が劇的に変化している昨今において、当然ながら住宅営業も変革が必要です。それでは2024年の住宅業界の営業予測についてお伝えさせていただきます。
儲けを最大化するための基本原則はビジネスモデル化です。ビジネスモデル化とは、誰(ターゲット)に対して?何(商品)を?どのように(集客・営業)?の3つの要素がわかりやすく伝わるようにすることと、尚且つ一貫性があることが重要です。この3つの要素をトライアングルで置き換えた場合、もっとも儲かるのは重なり合う部分の重心が正三角形の状態です。最初からこれがちぐはぐだと儲かりません。だた最初は儲かっていたのに、年々売上が減少していくという事象が起こります。これは時流の変化等によって微妙なズレが起こり、気づいたときには重心が正三角形ではなく二等辺三角形になってしまい、バランスを失ってしまうからです。
商品は意図的ではなく、ウッドショック等の資材高騰により強制的に変化しました。変化したのは商品だけではなく、ターゲットも変化しました。ということは集客手法も変えなければなりません。集客に苦戦している会社はこの顧客の変化に適応できていません。トレンドの要素などで目に見えて変化するのは商品です。微妙な変化のため気づくのが遅れ、気づいた頃には大きく変化しているのは集客です。あくまで私の感覚ですが、半年に1度、微妙な変化が起こっています。一方、3つの要素の中でもっとも変化しないのは営業です。理由は、商品や集客とは違い、営業活動は営業個人に依存する部分が多いからです。売る商品が変わって、来場されるお客さまが変わったからと言って、すぐに営業スタイルを変えられる営業マンはそう多くはいません。だから集客云々の前に売れないのです。なので例えば、FCやVCなどの同じビジネスモデルを展開しているのに、売れて業績が伸びている会社と売れずに苦戦している会社との根本的な違いは、営業力という単焦点ではなく、これまでのやり方を変えずに変化に適応できないからです。
このような状況に陥っている場合の処方箋は、来場予約後の0次接客で(電話のトークも含め)行う内容。初回接客までに準備すべき内容。初回接客で行う内容。次回アポの内容。第二面談からの契約までの営業フロー。これらを決めることです。それが仕組み化の第一歩です。仕組み化とはゴールに向けてのレールを敷くことです。もしくはまっさらな新卒や住宅営業未経験者を採用することです。
住宅営業の最重要指数は契約率です。コロナ禍以降、業績が伸びている会社の共通点は、集客数が増えているわけではありません。契約率が伸びています。間違えてはいけないのは、集客数が増えていないから契約率が伸びているわけではありません。集客数と契約率には相関関係はありません。実際に集客数も減って契約率も減っている会社はあります。目指すべき最低契約率は15%です。目標契約率が15%以上でなければない理由は2つあります。ひとつは集客が減っているからです。もうひとつは契約単価の生産性の関係です。契約率は契約単価に直結します。契約率15%ということは約6組の新規商談で1棟契約です。1組の新規商談を獲得するのにかかる費用は7~10万円です。と言うことは、契約単価は42~60万円になります。これが契約率10%だとしたら、10組の新規商談を獲得しなければならず、契約単価で70~100万円になります。契約単価は生産性に直結し、契約単価が100万円以上かかっているのであれば儲かりません。
全国の契約率30%以上の営業マンを分析すると、ある共通点がありました。それは月間の新規面談数が3組台だったことです。契約率30%ということは3組の新規面談をして1棟契約なので、契約単価は21~30万円です。契約率10%の営業マンと比べると単純にコストは1/3で生産性は3倍です。集客(新規面談)数と契約率には相関関係はありませんとお伝えしましたが、月間新規面談数が6組超えると契約率が10%台まで下がることがわかりました。そう考えると、ひとりの営業マンに対する適正な月間新規面談数は5組前後です。営業マン3名の店舗であれば契約目標は27棟。1棟単価2000万円で粗利30%と仮定すると、売上高5.4億円で粗利額1.6億円。営業利益率10%とすると5400万円になります。集客は、月間15組で年間180組の集客が必要です。そのためにかけるべき販促費用は1260万円は絶対に必要です。契約率10%で計画すると、その時点で計画自体が成り立たないことがわかります。
契約率15%は決して難しい数字ではありません。なぜなら今は60%以上が1組のお客さまが来場するのは3社以内です。3社と仮定すると契約率30%です。ただ住宅ローンが通らなかったり計画中止も加味すると3組から1組の契約は難しくないことがご理解いただけるかと思います。(コラム掲載不要→)激変する2024年の住宅営業はどうなる?気になる営業予測とは?
2024年の住宅業界の営業予測は下記の3つです。
・契約率15%をキープ
・来場前の接触と準備が重要
・オンライン商談が一気に進む
契約率15%キープに関しては、お伝えしたとおり営業力とは会社力で、店舗として契約率15%がキープできなれば事業計画は破綻します。来場前の接触と準備が重要に関しては、これまでは初回面談が住宅営業において最重要商談でした。初回商談で次回アポが取れなければ次回はありません。それは今でも変わりませんが、来場予定のお客さまとコミュニケーションを図り、事前ヒアリングをすることで初回商談の質を上げる目的として、0次接客の重要度は年々上がっています。チラシ反響時代にはなかった新しい問題が発生しています。それは来場予約が入ってもお客さまが予約当日に来場しないということです。集客数も減少していますが、実来場率も悪くなっています。これまでは住宅営業の主な仕事は、予約して来場したお客さまの接客でしたが、今は来場予約が入ったお客さまを確実に来場してもらうことも重要な営業活動に加わりました。なので、0次接客でミスをすると来場キャンセルとなり初回商談すらできなくなる時代になっているのです。
オンライン商談が一気に進むことに関しては、そもそもオンライン商談が増えています。それは決して、ウェブサイトの上に設置しているオンライン相談会から予約が頻繁に入るのではなく、資料請求や会員登録などの反響からのインサイドセールスによる呼び込みでオンライン商談が増えています。まだオンライン商談を攻略できている営業マンは私が知る限りほとんどいませんが、リアルの対面営業に加えてオンライン営業も二刀流が求められる時代になります。数年後にはオンラインでのやり取りに対応できない担当者はお客さまから見限られる時代が来るでしょう。