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住宅業界の集客周期から予測する次の時代の集客キーワード

船井総合研究所 住宅支援部の西村茂和です。

世の中で起こっていることには流れ(時流)があります。アパレル業界で見てみるとわかりやすくて、数年おきにカジュアル系とエレガント系で交互に流行が訪れます。親世代に流行ったファッションスタイルが十数年後に流行るというのも流れの象徴です。そしてその流れには一定の周期(区切り)があります。周期とは大きな波みたいなもので、その1つの周期は5年刻みであるように感じています。因みに、時代が大きく変わったと感じるのは5年周期を2回経た10年刻みになります。2024年は2020年から始まった周期の最終年で、2025年から新しい周期に入ると思われます。

2020年から始まった今の周期は、コロナという世界的なパンデミックから始まり、リモートワークが導入されるなど、働き方だけでなく人の価値観が大きく変わりました。世の中の動きを大きく捉えると、2025年からはAI(人口知能)の周期になると予測しています。目の前の業務においては、人間が工数をかけて行っていた仕事をAIが代行してくれるようになります。もう既にその兆候は起こっており、「Performance Max(パフォーマンスを最大化)」の略称であるP-MAXはウェブ広告の1つキャンペーンで、Google広告の広告枠全てに広告を配信できるメニューのことで運用を機械学習に任せられるため、手間をかけずに幅広いユーザーにリーチできる点が大きなメリットです。このように広告運用の一部を人間ではなくAIが代行するようになっています。

住宅のパースもAIが作成できるようになっており、今後はチラシや広告もAIが作成できるようになるでしょう。今年、芥川賞を受賞した九段理江さんの受賞作は、チャットGPTが作成した文章を5%ほどそのままを利用したとのこと。事実として、もうそのような時代に変わってきているということです。そこで今回のコラムでは、住宅業界の集客周期と次の時代に向けて今から準備しておくべきことについて一緒に考えていきましょう。

来場が安定している会社の実情と住宅業界の集客周期

時流の影響を最も受けるのは集客(マーケティング)です。その理由は、最も顧客動向の影響を受けるからです。集客においては、インサイドセールスが重要になっています。その背景にあるのは①直接来場は頭打ちになる一方で名簿数は増え続ける②なので来場を確保するには名簿からの誘導(インサイドセールス)が重要になる③よって集客活動と営業活動の間の誘客活動を仕組み化しないといけないという3つです。今ではインサイドセールスが機能していないところで、安定的に来場を担保できているところはありません。「うちはまだインサイドセールスをしてなくても来場がある」と思われている方もいらっしゃるかと思いますが、それは単なるタイムラグです。流れ(波)は全ての会社に平等には訪れません。早くその波が訪れる会社もあれば、2~3年後に訪れる会社もあります。だからこそ先に変化が訪れている会社から学び取り、準備が必要です。

来場が安定している会社の内訳は、チラシやウェブ広告などからの来場獲得が5~6割。資料請求や会員登録、ポータルサイトの反響からの来場獲得が3~4割。その他は紹介や看板などの認知活動からの来場獲得が1割程度という割合です。あくまでも予測ですが、恐らくこの割合がこれから2~3年から遅くとも5年先には、チラシやウェブ広告からと反響からの来場獲得の割合は逆転します。あるクライアント先では来場予約が減っており、その変わりに反響からの来場獲得が増えて、来場構造が逆転しているところも既にあります。

そういう意味では、2020年から2024年までは反響からのインサイドセールスが集客において重要な周期でした。2025年以降もインサイドセールスは欠かせない集客ツールであることには変わりませんが、役割は徐々に変化していきます。具体的には、フィールドセールスは対面営業であるのに対してインサイドセールスは非対面営業です。その対面がデジタル上での接点に変わっていきます。

チラシからウェブに集客の主役が変化したことによる変化とは?

2025年から2029年までの次の周期は、ナーチャリングが集客において重要な周期になります。ここで言うナーチャリングとは顧客育成で、住宅業界においては来場してもらう状態まで育成するということです。これまでは育成なんて不要でした。土曜日の朝刊に折り込まれたチラシを見て来場してもらうのを待っていれば来場獲得できました。認知=即来場でした。それが、認知→興味関心→比較・検討→行動と、来場までのフローが長期化しました。

チラシが集客の主役だった時代は、チラシ作成に工数がかかっており、携わっていたのは社長や営業担当者でした。そこに船井総研が業界の成功事例を基にチラシの費用対効果を高めることを目的にチラシのラフを作成したり、より円滑に進めるために制作会社とのやり取りも代行していました。ウェブ広告が集客の主役の今の時代は、広告の運用や複数バナーの作成に工数がかかっています。携わっているのはマーケティング担当者です。そこに船井総研が業界のビッグデータを基にウェブ広告の費用対効果を高めることを目的に広告の運用代行とバナー作成、データ分析などを代行しています。ある程度の知識と工数がかかるため他の業務の兼任では難しく、マーケティング担当者がいない場合は外注を利用することになります。

住宅業界においてインサイドセールスと言い出したのは、今の周期に入る前の2017年頃からでした。ナーチャリングと言い出したのは2022年頃からです。周期に入る3年ほど前から次のキーワードとなる言葉を耳するようになり、周期に入った3年目ぐらいから成果として差が現れるようになります。(コラム掲載不要→)ナーチャリングが必要不可欠になる次の時代に向けて今から準備しておくべきこととは?

ナーチャリングが必要不可欠になる次の時代とは?

ナーチャリングが主役になる次の時代は、定期的に情報発信するためのメルマガや、来場までに引き上げるためのステップメールの作成と配信、より親近感を感じファンになってもらうためのSNSでの発信、自社サイトを訪れたユーザーのネット上での行動を記録・追跡するためのウェブサイトのトラッキングに、一度ウェブサイトに来訪したユーザーへ広告を表示させるリターゲティング広告と、引き続きインサイドセールスの運用。すべてがデジタル化されるわけではなく、紙のDMの作成と送付と、1件の来場を獲得するために費用が高くなっているだけではなく、チラシ時代、ウェブ時代とは比べ物にならないくらいの工数がかかるようになります。そうなった場合は、社内ですべてを内製化できる会社はほんのわずかで、多くの場合で外注となります。ここでAIを活用するというのも有効です。また、情報発信のクオリティが成果を大きく左右するようになるため、いち早くプロに依頼した先が勝者になります。

集客がデジタル化すると言っても、まだロボットが勝手に企画を考えて広告物を作ってリリースしてくれるわけではありませんし、次元が異なる異世界で展開されるわけでもありません。あくまでもAIやロボットがこれまで人間が行っていた業務を代行してくれて、データを基により費用対効果が上がるサポートをしてくれます。チラシ時代は顧客との接点(タッチポイント)はチラシを見て来場してくれたという一点のみでしたが、今はデジタル上での接点がベースで、そのデジタル上での接点を増やすための施策がナーチャリングです。例えばインサイドセールスは、今は反響獲得後に架電していますが、自社サイトを訪れてスコアリングが高くなった見込客に先んじてアプローチを行うように形が変わります。

時代の流れを変えることはできません。時代の流れに逆行したところで成果はでません。時代の変化の波に乗れない(乗らない)会社と、時代の変化に波に乗る会社との差は思っている以上に一気に開きます。まずは他人ごとではなく自分ごとと捉えて、思考とフットワーク軽く、アドベンチャーシップを持って変化を原動力に変えていきましょう。

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