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今起こってる顧客動向の変化から読み解く住宅業界の時流予測2024

船井総合研究所 住宅支援部の西村茂和です。

特にこの時期、船井総研では年末が近づくと各業種・業界に向けて来年の動向を予測する時流予測セミナーを開催します。また、それぞれの業界向けの時流予測レポートを執筆し年内にリリースします。「時流予測」でウェブ検索するとほぼ船井総研しかヒットいない状況です。「なぜ時流を予測する必要があるのか?」「そもそも時流は予測できるものなのか?」そのように思われている経営者の方もいらっしゃるかと思います。

時流を予測する必要に関しては、目の前のことも大事ですが経営は先を見据えて取り組む方がまっすぐに進みます。このことを私はスノーボードの例えと出してお伝えしています。初めてスノーボードをしたとき、スキーとは違って両足が固定されるため恐怖を感じました。その恐怖感から足元ばかり見てしまっていました。インストラクターから「自分が進みたい方向を見た方がこけずに進めるようになりますよ」とアドバイスをもらい、勇気を出して足元ではなく目線を上げると滑れるようになりました。ビジネスにおいて大切なことは、将来何が起きるのかという仮説(未来予測)に基づき、今すべきことを意思決定しなければなりません。自社の未来予測を立てるためには、時流を捉えることが肝心で、時流を正しく捉えることができるとビジネストレンドを抑えることができます。

時流は予測できるのかどうかの疑問に対しては、未来の変化は未来に起こるのではなく今起こっています。そのわずかな変化にいち早く気づき、ルール(共通)化することで、現在→過去→未来という流れで、今後はこうなるだろうという予測が立ちます。そこで今回のコラムでは、過去から業界の変化を踏まえて、今起こっているわずかな変化を捉え、来年2024年の住宅業界の時流予測について一緒に考えていきましょう。

顧客動態の変化と顧客要望の変化

時流を捉えるためには、まずは時流が変化する要因を捉えておく必要があります。その要因はいくつかあります。法規制などの政治的要因。市場の成長性などの経済的要因。人口減少や少子高齢化などの社会的要因。技術革新や進歩による技術的要因。これらはPEST分析というフレームワークとフェルミ推定による考え方ですが、これらすべてのベースになるのは、人です。そもそも人が飽きる生き物です。乱暴な言い方をするなら、なので変化が起こるのです。つまり人を観察することが時流の変化に気づける第一歩となります。住宅ビジネスは基本的に、20代後半から30代の子育て家族である一次所得層をターゲットにしてますが、来店されるお客さまに変化を感じることはありませんか?

近年起きている住宅業界における顧客動向の変化としては、20代前半で結婚前のお客さまが増えています。その逆張りで、40代後半や50代で初めて家づくりを検討されているお客さまも増えています。ステレオタイプの30歳前後の子育て4人家族の割合は減っており、夫婦2人暮らしや親子3人暮らしなどの少世帯が増えています。ペットと暮らすシングルマザーの家というニーズも増えており、それも影響して、広さ35坪の家は減少し30坪以下の家が増えています。

家に対する要望も変化が起こっています。ポータルサイトを運営するタウンライフ調べによると、注文住宅の場合の間取りの要望ベスト3は、シューズクローク、パントリー、ランドリールームです。反対に、ロフトや小屋裏収納は要望が少ない状況です。当然ながらターゲットによって変わってきますが、中二階などの多層階はめっきり減り、吹き抜けがある家自体も減少傾向です。全体的な傾向として家はコモディティ(一般)化しており、昔と比べてこだわりは低くなっていますが、ゲーミングルームや筋トレやヨガルームなどの趣味に特化した間取りがある家も増えています。

フリー来場から予約来場、直接来場から間接来場へ

でも顧客の動向の変化をもう少し細かく見ていきます。これに関しては、技術革新や進歩による技術的要因が大きく影響しています。ほんの十数年前ではホームページがないことも珍しくありませんでしたし、見てもこちらが求めている情報が得られないホームページだらけでした。当時のお客さまにとって唯一の情報源はチラシでした。なのでチラシは、来場促進と認知と理解を高めるために非常に重要なツールでした。大きな変化はチラシを握りしめて来場しなくなったことです。チラシはその会社のホームページに誘導するためのフロントドアです。

その次の行動の変化の気づきは、チラシを見てホームページにアクセスして予約して来場するお客さまが出現するようになったことです。今では当たり前ですが、当時、予約来場者は極少数でしたが、来場予約をせずに来場されるお客さまよりも見込度が高かったのです。その次に起こった変化の気づきは、来場数が減ったのにも関わらず、資料請求や会員登録、ポータルサイトからの反響数は減っていないことでした。しかも、ホームページからの直接予約客よりも、資料請求や会員登録、ポータルサイトからインサイドセールスで呼び込んだ間接予約客の方が、見込度が高いということにも気づきました。

予約来場客からインサイドセールスからの間接予約客のシフトは今起こっていることですが、我々がこの住宅業界におけるインサイドセールスの重要性と成長性に注目し始めたのは2017年でした。ちょうど5年経った今では、インサイドセールスが機能してないと契約どころか来場すら不安定な状況です。将来何が起きるのかという仮説(未来予測)に基づき、今すべきことを意思決定するために自社の未来予測を立てるためには、時流を捉えることが肝心で、時流を正しく捉えることができるとビジネストレンドを抑えることができるのです。

5年後には当たり前になる?今起こってる顧客動向の変化とは

3Dプリンターの家がバンバン建ち始めたり、遠隔でロボットが建築し始めたり、AIが住宅営業し始めるのはまだ10年以上先だと思われますが、このような変化は変化ではなく変革です。ガソリン車からのEVシフトが起こっている自動車業界では100年に1度の変革期と言われています。なのでここからは住宅業界の5年後を見据えたあくまでの予測です。

それは今起こっている変化と、今はまだ起こっていない変化の2つあります。まず、今はまだ起こっていない変化については、これまでは会社に来場予約が入っていましたが、営業担当個人に来場予約が入る時代が訪れます。そのように予測する背景の前提は技術革新と顧客心理の変化です。個人に対する予約は既に美容業界では起こっており、お店に予約をするというよりスタイリスト個人に予約が入ります。美容業界はリピートビジネスなのでそのような傾向が考えられますが、住宅会社を選定する理由の大部分を占めるのは、営業担当者に対する項目です。最近では会社の公式アカウントとしてインスタグラムを発信しつつ、営業担当個人のインスタグラムでの投稿や、自社のYouTubeチャンネルに営業担当者の紹介動画は有効なツールになりつつあります。

今起こっている変化は、オンラインです。今年に入りオンライン商談が爆発的に増えています。それはホームページのオンライン相談バナーからの反響が爆発的に増えているのではなく、インサイドセールスからのオンライン商談が爆発的に増えています。ただ多くの会社でオンライン商談を有効に使えていません。逆に言えば伸びしろの部分ではありますが、オンライン商談は案件化しないから取らないという選択もあります。しかし、増えているものを排除するより、増えているものを有効に活用していこうとする方が、会社に利益をもたらします。契約に結び付けるためのオンライン商談の活用法についてはまたの機会にお伝えさせていただきます。

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