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最新住宅業界動向コラム / 商圏・業績データ

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住宅会社でこれまでに起きた時流の変化とこれから起きる出来事とは

船井総合研究所 住宅支援部の西村茂和です。

我々がコンサルティングを行う上で最も大事にしていることは、時流適応です。時流とは時代の流れや流行のことで、その流れを正しく把握し適応することです。時流不適応で業績を伸ばすのは非常に困難です。砕けた言い方をすると「時代が変わったのだから合わせていきましょう」ということです。業績不振企業の多くは時流不適応です。ただ、そのような経営者と話をしていても、最初から変化を否定する方はそう多くはありません。多いのは、変化に気づいていないのと、否定はしないがこれまでの考え方に固執して結局何も変えないということです。要は時流適応できません。

時代の変化を起こすものは2つあると感じています。ひとつは技術革新。もうひとつは価値観の変化。これら2つが交わることで空気感が変わります。これが時流の変化の正体です。住宅業界に置き換えてみると、技術革新においては、10年ちょっと前まではホームページがない工務店やビルダーも多くありました。それも含めてネットを取り巻く状況が一変し、技術革新が変化を起こしたことによって、事前に会社のことを調べることが容易になり、SNSの出現により情報の精度も格段に上がり、リアルタイムで収集することも可能にました。

価値観の変化においては、住宅業界においてはジェネレーションギャップです。ひとりの人間の価値観が変化したというよりは、心太のように次々とこれまでの価値観ではない顧客がターゲットになっていきます。住宅ビジネスは、基本的に一生で一回の買い物でリピートしません。なので、昔の意識のままで変化に気づくのが遅れます。もしくはその変化を一部の現象で自社とは関係ないように捉えてしまいます。そこで今回のコラムでは、時流の変化になった出来事とこれからやってくる時流の変化について一緒に考えていきましょう。

ラストワンマイルであるウェブサイトの重要性

自社ウェブサイトの重要性は以前からお伝えし続けてきましたが、その重要度は10年前とは比べ物にならないくらい各段に増しています。安定的に反響及び来場を獲得していくには、ウェブサイトに力を入れていくべきです。なぜなら、リスティング広告で自社サイトに誘導するケース以外も、SNSも最終的にはウェブサイトを経由させますし、当然ながらチラシや広告だけで来場判断するというのもないからです。いくら素晴らしいチラシ広告を作っても、いくら素晴らしいインスタ広告のバナーを作っても、いくら素晴らしいリスティング広告運用をしても、ラストワンマイルであるウェブサイトが期待値を下げて不安感を助長させるものであれば全てが無駄になります。実際にウェブ広告費は同じでも、サイトをリニューアルしただけで反響単価が10倍になった事例もあります。

また、一度サイトをリニューアルしたからといって何も手を加えずに何年も使い続けていても費用対効果は上がりません。サイトリニューアルのサイクルは2~3年に1度に頻度が上がっています。それはそれだけ時流の変化が早い証拠です。毎回チラシの効果測定をしてチラシを変えるように、ウェブサイトも毎月修正していきます。こうしたPDCAを回すことが費用対効果を上げるために、地道ですが最も確実なやり方です。なので、そうした毎月の改修費も目論んで期初に予算を組みます。

知恵を絞って、時間とお金を使ってチラシを1枚打つよりも、結果に基づいた地道なサイト修正を行う方が効果は得られます。なぜそうなのか?と問われると、それが時流の変化ですとの一言で済まされてしまいますが、時流適応するためには、その変化を正しく把握することと、なぜその変化が起こっているのか?という背景を知ることです。

時流の変化を感じた3つ出来事とその根底にあるもの

私はリーマンショックの前から住宅業界に不思議な縁があって、今もこうして携わっていますが、時流の変化を感じたのがこれまで3回ありました。川の流れのように時流の流れも、流れが一気に加速することはあっても急に変わることはありません。変化は流れの中で起こっていますが、変化を感じるのはある特定の出来事からです。

私が最初に感じた変化は、モデルハウスや見学会などの建物集客が減って、事務所に来店される方が出現したときでした。建物を見たいというニーズから、お金や土地などの相談がしたいというニーズです。それまでは住宅会社に行く=建物が見られるからという常識だったのが、建物も見られない事務所に来店するというちょっとした小さな変化から時流の変化を感じました。建物集客から相談集客という流れは今では一般的で、逆に建物集客だけしかしていない会社は集客に苦戦しています。次に感じた変化は、わざわざ予約して来場される方が出現されたことでした。当時は予約して住宅会社に来場するという価値観はなく、また今のように来場予約をスムーズにできる技術も確立されていませんでした。この流れはコロナによって決定的になり、今では予約なしで来場される方が珍しくなりました。

最近感じたと言っても今から約5年前ですが、資料請求客が見込客だと知ったことです。きっかけはあるクライアント先で案件発掘のために、資料請求客に架電するというのを行ったのですが、直近1年間の資料請求客に架電したところ通電率は約50%。そしてそのうち約25%がどこかで契約しているという事実を知ったときです。資料請求客というと電話も出ないしアポも取れない単なる名簿客という捉え方でした。通電率が50%ということは残りの50%は通電しておらず、結果に当てはめて考えるなら、そのうち25%はどこかで契約しているというのが考えられますので、結果的に資料請求反響の50%は1年以内に契約している考えるのが常識的です。

営業マン個人のブランディング力の差が企業の業績の差になる時代

あくまで私見ですが、こうした変化を感じるのは5年ごとに起こっています。直近が5年前でしたのでそう考えると今まさに変化が起こっていると考えるべきです。その変化とは、営業マン個人のブランディングです。住宅業界はこれまで、ヘッドハンティング会社に優秀な営業マンを引き抜かれるのを恐れて、スタッフ紹介をウェブサイトに掲載しない会社が増えました。今はということ、当時はそれを気にして掲載しなかった会社も掲載するようになっています。理由は、引き抜かれるリスクよりも掲載しないデメリット、掲載するメリットを感じるようになったからです。

地域一番店の方がそうした引き抜きに合う可能性は高まります。しかし、明らかに地域一番店の方がスタッフ紹介を掲載するようになっています。これも一種の時流の変化です。その変化の根底にあるのが、お客さまが来場判断する際に、社員の顔が見れた方が安心を感じ来場ハードルが下がるからです。同じような商品、同じようなウェブサイトに同じような広告を打っていたとしても、絶対にマネされないのは人です。人柄を出すことによって特徴を伝えることも可能です。「うちの会社は人が強み」と思われているような会社であれば、引き抜きに合うリスクよりも、社員を出さないリスクの方が冷静に考えて上です。

以前のコラムでも書きましたが、今後必ず、特定の営業マンを指名して個人に予約が入る時代がやってきます。これを実現するためのハードルは技術革新だけですが、美容室やリラクゼーションなどはホットペッパービューティーでスタイリスト個人に予約を入れるのが可能です。でもどうしても不特定多数に向けてスタッフを出すことに抵抗があるのであれば、特定少数に向けて、魅力的に伝える名刺を作成する、顔写真やプロフィール付きのメールの署名にするなど、今すぐにでも取り組めることは多くあります。

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