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【商品開発は自社で行わない方がいい??】住宅会社が取り組む正しいリブランディングと商品開発とは?

船井総合研究所 住宅支援部の西村茂和です。

東京商工リサーチから、2023年1月から6月までの上半期の全国企業倒産状況について発表がありました。負債額1,000万円以上の企業の倒産件数は、前年同期比32.0%増の4042件で、負債総額は同45.3%減の9340億8000万円でした。倒産件数は2年連続で前年同期を上回り、上半期に4000件台となったのは2020年同期(4001件)以来3年ぶりとのこと。負債総額は、前年同期に負債額1兆超えの案件があったこともあり、その反動で大幅に減少し2年ぶりに前年同期を下回りました。ただ、負債100億円以上が8件(前年同期7件)、1億円以上5億円未満が824件(同608件)、5億円以上10億円未満が115件(同106件)と中堅規模の会社で倒産が増えている傾向にあります。

倒産要因である「ゼロ・ゼロ融資」「物価高」「後継者難」「求人難」「人件費高騰」の5つに関しては、「ゼロ・ゼロ融資」後の倒産は322件(前年同期174件)。「物価高」倒産は300件(同90件)と3.3倍に急増。「後継者難」は209件(同225件)、「求人難」は27件(同17件)、「人件費高騰」は24件(同ゼロ)でした。これらからもわかるように、「物価高」倒産が最も増えており、その後に「ゼロ・ゼロ融資」倒産が増えています。

我々も日々、住宅業界で業績アップのためのコンサルティングを行っていますが、今、住宅会社に必要なのはリブランディングです。「物価高」によって商品価格は上昇し、それによってターゲットが変わり、集め方も売り方も変えざるをえず、大きくビジネスモデルが変わったはずです。そこで今回のコラムでは、住宅会社が取り組む正しいリブランディングと商品開発について一緒に考えていきましょう。

住宅会社が取り組む正しいリブランディングの進め方

リブランディングとは、商品・サービスや企業自体の既存のブランドを、時代の変化や顧客に合わせて構築し直すことです。ブランドの求心力や影響力に陰りが感じられた際、魅力やアピール力を蘇らせるための取り組みです。集客の減少、利益の低下などの要因のひとつは、既存ブランドがターゲットにしていた客層とのマッチングに不具合が生じている証拠です。特に、ウッドショックから始まる昨今の「物価高」により、ターゲットにすべき客層自体が変わりました。客層が変われば価値観や行動が変わり、それまでの訴求ポイントや訴求方法が的外れになってしまっていることが考えれます。

そのような状況であれば、既存の延長線上で物事を考えていても恐らく解決しません。発想の転換が必要なのです。それがリブランディングを行う上での第一歩です。なので、新商品では業績に対するインパクトは限定的です。新商品ではなく新事業にすべきです。その新事業は既存事業のリブランディングでも結構ですし、新たに立ち上げるというのでも結構です。とにかく既存の延長線上ではなく、新たな発想と取り組みが必要です。

あるクライアントは、今期から会社名を変更されました。その会社はグループ経営を行われていますが、BtoCに関わる事業会社すべての社名を変更されたのです。社名変更とともにロゴも変わりました。改めて自社の強みや家づくりのコンセプトも変更し、その部分のホームページも変更しました。この時代においては、変えない、変わらないことはリスクです。そんな変えることよりも大事なのは、ブランドの現状とあるべき理想の姿を見据えたうえで、課題を洗い出し、どのように解決していくのかを具現化することです。だから、新商品をどこからか持って来て並べるだけでは意味がないのです。

チラシを真似られても気にしない!その理由とは?

客層が変わったのであれば、自社も変えていかなければならないこと。そしてそれは、新商品ではなく新事業(ブランド)でなければ意味がないことは、ご理解いただけたかと思います。改めて、ビジネスモデルについてご説明しますと、誰(客層)に?何(商品)を?どのように提供(集客・営業)するか?の3つに一貫性があるのが大前提です。例えば、同じハンバーガーを売るブランドでも、マクドナルドとモスバーガーではビジネスモデルは異なります。スポーツジムでも、チョコザップとカーブス、エニタイムフィットネス、ゴールドジムではビジネスモデルは大きく異なるのは、ご理解いただけるかと思います。

住宅会社も家を提供しますが、提供する家も、提供方法も、何より客層が異なるためビジネスモデルは各社で違います。競合するのは、ビジネスモデルが似通っているときに起こります。「うちのチラシを〇〇に真似られた」と言うのを耳にしたりしますが、チラシを真似たところでビジネスモデルが違えば何の影響もないのです。そんなことを気にするよりも、お客様のニーズにきちんと対応できているかどうかを気にすべきです。案件状況を確認していると、価格帯的に競合するはずがないハウスメーカーと競合していたりするのは、自社のコンセプトを正しく発信できていないことに原因があります。

リブランディングを進めていく際に、真っ先に頭に浮かぶのが商品の見直し(商品開発)だと思いますし、実際に売る商品は業績を大きく左右します。但し、商品開発から入ると失敗する確率が高まります。そうではなく、まず見直すべきは客層で、現状を正しく分析することから始まります。今後ターゲットにする客層が定まれば、そのニーズに対応する商品の開発となるわけです。

新時代に合わせた新しい商品開発のカタチ

商品開発は自社で行わない方がいいと感じています。その理由の1つめはスピードです。これからよーいドンで進めたとしても、構想に3ヶ月から半年はかかります。下手をすると半年では完了しないケースも大いにあり得ます。仮に半年で新たな商品コンセプトや標準仕様、原価と販売価格が決まったとしても、そこから確認申請を出して着工し完成するまでに4ヶ月はかかります。そうなると来年3月に構想が固まり、完成するのは来年7月です。完成してからモデルハウスの飾りつけなどを行うと、お盆明けからの販促開始になり、翌月9月に契約が取れたとしても、どんなに早くてもその新商品からの売上は再来年の1月以降となります。再来年は2025年です。自社で行うと時間がかかりすぎるのです。2025年にはまた時代の変化が起こっているかも知れません。

2つめの理由は人です。大企業でもない限り、そのプロジェクトだけに人を割くことはできません。業務はすべて兼任で行われ、負担は増します。通常業務がありながら進めていくわけなので、どうしてもこうしたことは後回しになり遅れが発生するのです。あと、3つめを挙げるとしたら、自社で行うとどうしても家のデザインや見た目が既存ブランドと似通ってしまい、全く異なる発想が生まれにくくなります。

これらの理由から、商品開発は外注すべきです。ただ、これまでは外注のイメージは丸投げでしたが、業務は丸投げしたとしても構想を丸投げするのではなく、今風の表現をするとコラボ(コラボレーション)です。FCやVCの本部も、建材メーカーとのコラボがあったぐらいで基本的にこれまでは自社で商品開発を行っていましたが、最近ではアウトドアブランドとコラボしたり、アパレルブランドとコラボしたりと、従来の住宅会社の発想の枠から広がりを見せつつあります。ただ商品を買うのではなく、コラボ(協業)して商品開発を行う。そうした柔軟な発想が求められていると感じています。

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