CONSULTING COLUMN
最新住宅業界動向コラム / 商圏・業績データ
コンサルティングという仕事柄、日々様々な経営者と出会い、志や想いを共有できた経営者の方々と一緒にお仕事をさせていただいております。成功したときは一緒に喜び合い、成功しなかったときは一緒に悔しい思いをし、次の手を考える。自分の両親ほどの年齢が離れた経営者から信頼され、ある意味、その会社の参謀となって一緒に成長していける。こうしたことがコンサルティングの醍醐味だと感じています。船井総研の社内では、経営コンサルティングと言う言葉はあまり使いません。経営コンサルティングではなく、経営者コンサルティングという意識で、経営者に伴走する覚悟を持って仕事に取り組んでいます。そうなると、自分の身内よりも一緒に時間を共有することも多く、自然と経営者の一番の理解者にもなり得ます。
世の中には星の数ほどのコンサルティング会社が存在しますが、ここ数年、就活市場においてコンサルティングファームの人気が高まっています。就活サイトを運営するワンキャリアが2023年6月に公表した「東大・京大25卒就活人気ランキング」では。トップ10のうち7社はコンサルティングファームが入るなど、就職活動を行う学生にとってコンサルが人気となっています。船井総研でも毎年120名以上の新卒採用を行っていますが、船井総研と他のコンサルティング会社との違いは、経営者と直接、仕事ができることにあります。
私は中途入社ですが、船井総研を希望した最大の理由は、経営者と仕事ができることでした。距離感が近いからこそ、経営者が発するちょっとした言葉で、その会社の近未来が予測できたりします。業績を伸ばす会社の経営者が発するちょっとした言葉と、業績不振の会社の経営者が発するちょっとした言葉には明確な違いがあるのです。業績を伸ばす会社の経営者からよく聞かれるのは「業績が伸びているビジネス(会社)ある?」です。そこで今回のコラムでは、企業が持続的成長を実現するために取り組むべきふたつのことについて一緒に考えていきましょう。
我々がコンサルティングを通じて提供しているのは業績アップですが、船井総研では、達成すべき経営指標のひとつとして、持続的成長スコアが20%以上になることを推奨しています。持続的成長スコアとは、企業分析で実施している新しい企業成長率の指標で、営業利益率+売上前年比成長率で示すことができます。国内外問わず、収益性と成長性を持続的に両立しているイノベーション企業の持続的成長スコアは、20~40%を実現しています。例えば、マイクロソフトは48.1%。アマゾンは36.2%。スターバックスは25.8%と、世界的グローバル企業で売上が高いだけでなく、持続的成長を続けているという見方もできます。ぜひ、本コラムをお読みの皆さまも自社の持続的成長度スコアを一度、算出してみてください。企業経営において重要なことは持続的成長を続けるということなのです。
ところで、今の会社の方針は、利益率を上げていくのが目的でしょうか?それとも売上の拡大を狙っていくのが目的でしょうか?前年よりも売上を伸ばしていきたいという企業も、コロナショックやウッドショックなどの有事の際には、減収減益という最悪の結果にならないように減収だけども増益。狙うのであればやはり増収増益という着地点かと思います。有事などの外部環境の変化は自社ではどうすることもできません。なので、そのような場合でも、しっかりと増益につながるための経営資源の投資をしていなければならないのです。
利益率を上げていくのか?売上の拡大を狙っていくのか?のベストアンサーは、その両方です。売上と利益、二兎と追う経営が必要となります。コロナ前の2019年に刊行され、日本中の経営者やビジネスパーソンから圧倒的な支持・共感を得てベストセラーになった「両利きの経営」という本が出版され話題になりました。両利きの経営とは、主力事業の絶え間ない改善(知の深化)と新規事業に向けた実験と行動(知の探索)を両立させることの重要性を唱える経営論のことで、成功を収めた大企業が新興企業に敗れ低迷するイノベーションのジレンマの処方箋として、近年注目を集めている理論です。
両利きの経営で持続的成長を実現するポイントはふたつです。ひとつは、既存事業の営業利益率の向上と、もうひとつは、新規事業の売上成長率の向上です。この両方を経営戦略として展開してくことで企業としては高い成長率を保つことができます。住宅会社の場合、既存事業の営業利益率の向上を実現するために取り組まなければならないのは、生産性の向上です。以前のコラムで書かせていただきましたが、生産性の向上とはコストカットや効率化を追求するのではなく、同じ数の労働者が生み出す付加価値をどこまで増やせるのかの追求です。
そのためには、コストダウンや高付加価値のシフトすることにより建物利益は30%以上確保すべきです。平均契約率が10%以下、または契約単価が100万円以上かかっているのであれば、必要以上に来場数を確保しなければならず儲かりません。尚且つ初回接客から契約までの平均日数が120日以上も費やしているとしたら、キャッシュフローの悪化を招くだけでなく、回転率が悪く全く儲かっていません。契約してから着工するまでに2ヶ月以上、着工してからは現場監督が何度も現場に足を運んでいたり、現場でミスが起こって利益を削り、結局のところ最終利益が20%を下回っているとなると、何のためにやっているのかもわからなくなります。
既存事業の利益率を向上させるための解決方法はふたつで、既存事業のビジネスモデルを転換するか?DX(デジタルトランスフォーメーション)で一気に業務改善を図るか?です。どちらにも言えるのは、今の延長線上にはないということです。カッコイイ言い方をするなら、社内のイノベーション(革新・刷新・新機軸)を生み出していかなければならないのです。
住宅会社が新規事業の売上成長率の向上を実現するために取り組むべきことは、第二本業の確立です。「そんなの無理…」と思われるかも知れませんが、厳しい言い方をすると、今後、市場が縮小していくことが確定している住宅業界におちては、第二本業を確立できなければ10年後の成長シナリオは描けないと思った方がいいでしょう。
新規事業参入のご提案をした企業からよく言われるのは「市場規模が縮小していくので既存事業一本のみでは成長できないことはわかるが、経験のない新規事業を立ち上げて勝ち切れるのか?」。「そもそも新規事業として参入しようとする市場には大体先行者がいるわけで、そんな先行者がいるところに後から我々が参入していって勝てるのか?」。今の延長線上にはないということは、今まで経験のない領域に参入をしていくわけなので、不安が大きいのは当然です。しかし、日本の中には地域に密着しながら複数の事業展開(地域密着コングロマリット化経営)を行うことで、持続的に成長している企業事例は数多くあります。一般論として「ひとつの法人が複数事業を展開することは経営資源の分散化を招き、企業を弱体化させる可能性が高い」と言われる中、成功しているコングロマリット企業は、ある成功のツボをおさえています。そのツボとは、新規事業に参入して売上を拡大させるシナリオ設計ができていることです。それにより人材効率や販促効率を飛躍的に高めることができます。
シナリオ設計とは成功の方程式のことで、①新規事業案の有望度×②自社商圏内の競合度×③自社経営資源が生かせる度合いです。①は大前提として新規事業案自体が少なくとも今後10年間は成長していける見込みがあることです。そのためにはアンテナを立て情報収集をしていくことが重要で、冒頭でご紹介した業績を伸ばす会社の経営者からよく聞かれる「業績が伸びているビジネス(会社)ある?」の口癖です。②は事業案自体が有望であったとしても自社の商圏で成立するか?の見極めです。コツは、もし自社商圏で展開した場合、成立するのだろうか?という商圏発想をもちながら情報を集めることです。③はシナジーで、既存事業で培ったノウハウが生かせるか?顧客名簿が生かせるか?地域密着効果が生まれるか?の3点です。これら①②③の3つの視点を押さえ、新規事業参入計画を立てていくことが、第二本業確立のための近道となるのです。
船井総研では、工務店・ビルダー・住宅会社の皆様の業績向上(集客・受注の向上)のために、
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