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【なぜ住宅業界は業績が二極化しているのか?】企業成長に寄与する3つの要因とそれぞれの割合

船井総合研究所 住宅支援部の西村茂和です。

心理学者のエリクソンが提唱した発達段階論とは、人間には「乳児期」「幼児期前期」「幼児期後期」「学童期」「青年期」「成人前期」「壮年期」「老年期」というように社会的・肉体的・精神的な変化を8つの段階に分けたライフサイクルが存在することを意味します。これら同様にビジネスにもライフサイクルがあります。正式には「プロダクト・ライフサイクル」と呼ばれ、マーケティングという学問の黎明期の1950年にジョエル・ディーンが提唱した理論で、製品が市場に投入されてから、寿命を終え衰退するまでのサイクルを体系づけたもので、製品の売上と利益の変遷を「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つの段階に分類し、それぞれの段階における戦略が異なります。

ビジネスを行う上で抑えておくべきことは、どの段階のマーケットを狙うべきか?ということと、自社が行っているビジネスはどの段階なのか?そして今後どうなっていくと予測できるのか?そのために今から何を準備しておく必要があるのか?という点です。

何を売るか?何を取り組むか?も重要ですが、その前提にあるのが、どこ(ポジショニング)で?どのタイミングで?という部分です。4つのライフサイクルの段階で取るべき対策は異なります。因みに、住宅業界の新築住宅市場のライフサイクルは「成熟期」の後期に当たります。競合が多く飽和している状態です。今後は「衰退期」に向かっていきますが、そうなると反対に社数が減り、家具や家電業界のように数社の独占状態になります。そこで今回のコラムでは「成熟期」の住宅業界において業績を伸ばして成長を続けていくための多角化戦略とその事例についてお伝えさせていただきます。

住宅業界ではなぜ二極化が起こっているのか?その根拠とは?

新築住宅着工棟数は、2012年から2019年の7年間で22,851戸減っており7.34%減少しています。しかし一方で、都道府県別の着工ランキングを見ると、それぞれの地域における(シェア4%以上をキープしている)トップ企業の合計着工棟数は増えています。噛み砕いて言うと、住宅市場は縮小しているのにも関わらず、トップ企業は棟数を増やしているということです。あまりいい表現ではありませんが、強者同士が棟数を食い合っている構図ではなく、弱者の減少分を強者が食っているという構図です。

なぜ弱者は棟数を減らしているのでしょうか(結果的に棟数を減らして弱者になってしまっているのでしょうか)?それは、ひとえに集客活動が弱くなっているからです。要は見学会から集客ができない。集客ができないから販促費を使えない。もしくは売上が上がらないから販促に対して投資できていない。集客ができないので契約が増えない。そんな負のスパイラルに陥っている中小の工務店を多く見受けられます。

集客に課題をお感じの工務店の経営者から相談を受けることが多いですが、ほとんどのケースでそもそも販促を行っていない、販促費のかけ方が適正ではなく少なすぎるというのが共通点です。我々船井総研が調査したところによると、地域一番店でも新規1組当たりの来場単価は9万円です。知名度も高く実績もある会社でも9万円かかっているという認識を持つべきです。9万円を半額にする努力も必要ですが、それよりもまず9万円以上のコストをかけることです。あと共通するのは、WEBやSNSの広告を行っていないことです。今、WEBやSNSをきっかけに来場に至っている割合は40%です。WEBやSNS広告の施策を行っていないというのは、残りの60%の集客ボリュームゾーンの中で奪い合っているという状況になります。

企業成長に寄与する3つの要因とそれぞれの割合

そのような状況下で、住宅業界で経営されている皆さまが生き残り、業績を伸ばして成長を続けていくためにはどうしたらいいでしょうか?業績が伸びている会社を見ていると、たまたま伸びているのではなく、伸びる可能性が高い施策を意図的に取り組んでいるということがわかります。業績が企業の成長要因を明らかにした書籍『The Granularity of Growth』によると、企業成長に寄与する要因は下記の3つで、それぞれの要因が影響を与える割合は下記の通りです。

①成長している市場に参入する(65.3%)
②既存の事業のシェアアップを図る(3.9%)
③M&Aを行う(30.6%)

なかなか興味深いデータですが、この3つの中では①成長している市場に参入するというのが最も企業成長に寄与する要因が高く、最もパフォーマンスを発揮するのがわかります。反対に②既存の事業のシェアアップというのは最も企業成長に寄与する要因が低くなっています。実際に業績が伸びているトップビルダーの多くは、既存事業の既存店の売上が上がっているわけではありません。当然下がってもいませんが頭打ちの状態です。なのに会社として伸びているのはまさしく成長している市場に参入しているからにほかなりません。

住宅業界は縮小傾向なので、例えば隣のリフォーム業界に参入するなどの商売を行う場所を変えてしまう。またはリフォーム業界で新規事業を立ち上げるということですが、同じ住宅業界の中でも実は伸びている市場は存在します。決して既存事業のシェアアップを軽視するというわけではありませんが、「成熟期」の住宅マーケットにおいて成長ストーリーを描くためには、成長すると予測される市場に参入することは必要な観点であるといえます。

「伸びている市場」「伸びている商品」「伸びているビジネスモデル」

まとめると、企業が業績を伸ばして成長していくためには「伸びている市場」「伸びている商品」「伸びているビジネスモデル」で商売を行うことが重要です。では、住宅業界で伸びている市場とは何でしょうか?「伸びている市場」を言い換えるなら「増えている客層です」。人口が減っているのでこれまでボリュームゾーンだった30代子育て4人家族は増えていません。増えているのは、3人以下の家族構成です。あとは20代前半のご夫婦や、これまで結婚してから数年後に家を建てるのが一般的でしたが、最近では結婚前のカップルが来場されるなど変化しています。

「伸びている商品」に関しては注文住宅よりも規格住宅です。最近では大手ハウスメーカーもこぞって規格住宅商品を発表し、受注も好調です。価格は高単価よりも低単価です。これに関しては、収入が増えていないということもありますが、家へのこだわりが低く家にお金をかけないという価値観が増えているのが要因です。大手ハウスメーカーの規格住宅が売れているのは、価格が安いからではなく「あのハウスメーカーの家がこの価格で建てられる」というお得感を感じられるからです。「伸びているビジネスモデル」とは「伸びている市場(客層)」に対して「伸びている商品」を中心に、集客と営業に一貫性を持って展開している事業です。それが多角化戦略で、それが市場の攻略の仕方になります。

長野県で6年連続着工棟数No.1を誇り、過去最高の年間完工数255棟の実績で売上76億円の24期連続増収しているAPHグループは、住宅業界の常識を覆す徹底したお客様目線の家づくりで創業1999年以来ずっと業績を伸ばされています。業績を伸ばされている大きな要因は、主力事業であるフル装備住宅の「アルプスピアホーム」の店舗展開だけではなく、あらゆるライフスタイルに合わせて長野県内に13拠点を展開されているからなのです。

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