不動産賃貸業の今後を見据えた成長戦略と課題とは?

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執筆者船井総研 住宅・リフォーム・不動産支援部
コラムテーマ経営戦略
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不動産業界向け
賃貸管理業界 時流予測レポート2026 (今後の展望・業界動向・トレンド)

不動産賃貸業を営む経営者の皆様、日々の業務、本当にお疲れ様です。

少子高齢化や人口減少といった社会情勢の変化は、不動産賃貸業界にも大きな影響を与えています。「この先の業界はどうなるのだろうか」「どのように事業を成長させていけば良いのだろうか」と、不安を感じていらっしゃる方も多いかもしれません。

しかし、変化は同時に新しいチャンスでもあります。重要なのは、業界の現状と課題を正しく把握し、将来を見据えた戦略を立てて実行することです。

この記事では、不動産賃貸業の現状と課題、そして今後成長が見込まれる分野や具体的な戦略について、皆様の経営の一助となるよう、詳しく解説していきます。

不動産賃貸業の現状と未来の展望

不動産賃貸業は、社会の基盤を支える重要な産業ですが、市場環境は刻々と変化しています。まずは、現在の市場規模や賃貸需要の動向を見ていきましょう。

不動産賃貸業の市場規模と成長率

現在の不動産賃貸業界の市場規模は、総務省統計局の「サービス産業動向調査」によると、2023年度の不動産賃貸業・管理業の売上高は約1.9兆円と増加傾向にあります。しかし、市場全体としては、2023年から2024年を境に本格的な「衰退期」に入っていると言われています。これは、世帯数が減少に転じ、新しい物件が多く建設されることで、需要よりも供給が上回る「モノ余り」の時代に突入したためです。

このような状況下では、競争が激化し、大手や中堅企業に顧客が集中する傾向が顕著になっています。特に賃貸管理業界では、管理戸数1,000戸未満の小規模な企業が、社数ベースで約30%を占める一方で、管理戸数ベースではわずか約2%に留まっており、中堅・大手への集約が進んでいる厳しい業態であることがわかります。

賃貸需要の変化とその要因

不動産市場の二極化が進む中、消費者・企業・投資家それぞれのニーズにも変化が生じています。

  • 消費者ニーズの変化:「所有から利用へ」
    持ち家志向は依然として多数派ですが、土地が有利な資産であると考える人の割合は低下し、持ち家にこだわらない人も増加傾向にあります。これは、ライフスタイルの多様化を背景に、柔軟な住まい方を求める人が増えているためです。
  • 企業ニーズの変化:快適性・利便性の高いオフィスとテレワークの導入
    優秀な人材の確保や生産性向上の観点から、オフィス環境の改善ニーズが高まっています。また、新型コロナウイルス感染症の影響を経て、テレワークが普及し、働く場所の多様化が進んでいます。

このように、単に物件を提供するだけでなく、多様化するニーズに対応した「トータルサービス」の提供が、今後の賃貸業に求められています。

不動産賃貸業界が直面する課題

市場の変化に伴い、不動産賃貸業界はいくつかの大きな課題に直面しています。これらの課題を解決することが、今後の成長の鍵となります。

人口減少と地域格差の影響

最も大きな課題の一つが、少子高齢化と人口減少の進展です。

  • 市場の縮小
    日本の総人口は減少に転じており、特に若年層人口の減少は、住宅購入の主力層である30代・40代の減少に直結し、不動産市場の縮小を招きます。
  • 需要の低下と地域格差の拡大
    地方の過疎化が進行する中で、全国各地で空き家が増え続けています。これにより地域の景観や安全性が損なわれ、不動産価値の低下、地方経済の衰退につながる可能性があります。人口減少下でも、中心地など一部のエリアでは住宅価格の上昇が顕著である一方、地方では需要の低下が進むなど、都市部と地方の二極化が深刻化しています。

空き家問題とその社会的影響

人口減少に伴い、空き家や空き地などの遊休不動産の増加、および既存ストックの老朽化も深刻な社会問題です。

  • 空き家の増加
    利活用されていない空き家や空き地は増加傾向が続き、今後も世帯数の減少に伴い、同様の傾向が続くと見込まれています。
  • 老朽化
    マンションやオフィスビルも老朽化が進んでおり、特に築40年を超えるマンションは、今後20年間で大幅に増加すると予測されています。

これらの問題は、単に個々のオーナー様の経営を圧迫するだけでなく、地域の治安や景観、不動産市場の健全性にも影響を与えるため、社会全体での対策が求められています。

テクノロジーの進化と不動産賃貸業

社会の変化の中で、テクノロジーの進化は不動産賃貸業の未来を大きく左右します。

不動産DXの導入とその効果

不動産業界は依然として古い商習慣やアナログ作業に依存しており、他業界に比べてDX(デジタルトランスフォーメーション)化の遅れが課題とされています。しかし、人手不足の深刻化や業務効率化の必要性から、DXの導入は避けて通れません。

DX導入による主な効果は以下の通りです。

  • 業務効率化と生産性の改善
    電子契約やオンライン内見、クラウドシステムなどを導入することで、手作業の削減や情報の一元管理が可能になり、長時間労働や高い離職率といった業界の悪循環を断ち切ることができます。
  • 顧客体験の向上
    オンラインプラットフォームの普及により、お客様の手間を軽減し、利便性を高めることができます。
  • データ分析による意思決定の精度向上
    AIやビッグデータを活用し、市場動向の予測や顧客ニーズの分析を行うことで、賃料設定や投資判断の精度を向上させることができます。
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AIとビッグデータの活用事例

特に注目すべきは、AI(人工知能)とビッグデータの活用です。

  • 市場予測の高度化
    AIが市場の動向を予測し、より的確な賃料設定や投資判断を支援します。
  • 顧客ニーズの把握
    顧客の行動データを分析することで、どのような物件やサービスが求められているかを把握し、マーケティング戦略に活かせます。
  • 物件管理の最適化
    AIを用いた予知保全などにより、効率的で計画的な物件運用が実現します。

業務効率化を目指すのであれば、不動産管理や仲介業務のDXを支援するシステムを活用することが重要です。

「不動産DXによる業務効率化」について、具体的な施策や成功事例を詳しく知りたい方は、船井総研の無料経営相談にお申し込みください。

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今後の不動産賃貸業の成長分野

厳しい市場環境の中でも、社会の変化に対応することで成長が見込まれる分野があります。

高齢者向け住宅市場の拡大

日本の人口構成が高齢者中心の「つぼ型」に変化し、65歳以上の人口が継続的に増加している現状において、高齢者向け住宅市場は今後も安定的な拡大が見込まれます。

  • ニーズの高まり
    高齢者のライフスタイルや健康状態に合わせた住まい、具体的にはバリアフリー化やユニバーサルデザインに配慮した高齢者向け住宅、介護付き住宅の供給が求められています。
  • トータルサービスの提供
    介護や見守り、生活支援といったサポートを一体的に提供する「サービス付き高齢者向け住宅」など、住まいだけでなく、生活全般を支えるトータルサービスが競争力を高める鍵となります。

リノベーション市場の成長

新築住宅の着工数が減少傾向にある中で、既存の物件を活用するリフォーム・リノベーション事業は市場の拡大が期待されています。

  • 古い物件の価値向上
    築年数が経った物件をリフォームやリノベーションで価値を高め、その後の販売や賃貸に繋げるケースが増加しています。
  • エコ・サステナビリティの重視
    環境意識の高まりから、エコやサステナビリティを意識したリノベーションの需要も増えています。
  • デザイン性の追求
    入居者の心をつかむためのデザイン性に優れたリノベーション物件も、賃貸業の収益性を高める重要な要素です。

不動産賃貸業のビジネスモデルの変革

既存のビジネスモデルを維持するだけでは、今後の市場で勝ち残ることは難しくなります。新たな収益モデルの構築と、顧客ニーズへの柔軟な対応が不可欠です。

新たな収益モデルの構築

衰退期にある賃貸管理業界において、生き残りのカギとなるのは「ニーズに合わせた商品力構築」です。

  • 「管理戸数」の拡大
    業界平均の管理戸数伸び率が103%程度であるのに対し、毎年110%以上伸ばし続けることが中核事業を維持する上で重要です。これは、新規オーナー様の獲得と、他社からの管理切り替えを積極的に進めなければ達成できません。
  • 他事業への投資と効率性向上
    賃貸管理業の競争が激化する中で、他の事業への投資や、既存顧客維持のための生産性向上といった戦略も重要になります。

顧客ニーズへの柔軟な対応

多様化する顧客ニーズを的確に捉え、迅速に対応できる体制を構築することが、競争優位性を確立します。

  • トータルサポートの提供
    オーナー様に対して、賃貸、売買、大規模修繕、空室対策、相続対策など、不動産に関する「お困りごと」をワンストップで解決できるトータルサポートを提供することが求められています。
  • データに基づいた提案
    オーナー様の情報を一元管理できるCRMシステム(オーナーカルテなど)を導入し、訪問状況や提案内容を「見える化」することで、オーナー様一人ひとりに合わせた質の高い提案が可能になります。

不動産賃貸業の人材育成と確保

業務の複雑化やサービスレベルの向上に伴い、人材の確保と育成は喫緊の課題です。

業界の人材不足とその対策

不動産業界は、人手不足が深刻化しており、特に賃貸管理業界では、管理業法等の制定により管理会社に求められるサービスレベルが向上しています。一定の管理品質を保てない会社や入居率が低い会社は、オーナー様から選ばれにくくなり、管理戸数の拡大が難しくなります。

  • オーナー営業の専任化
    管理戸数拡大のためには、オーナー営業に特化した専任部署を設立し、さらに新規のオーナー営業担当者を専任で配置することが有効です。
  • 社員のレベルアップ
    空室対策、相続、リノベーションなど、幅広い内容で社員が講師を務めるオーナーセミナーを実施することで、社員の専門知識と提案力を高めることができます。

新しい働き方の導入

優秀な人材を確保し、定着率を高めるためには、働き方改革を進めることが不可欠です。DX導入による業務効率化は、長時間労働の是正に繋がります。

  • 生産性の高い業務の実現
    業務効率化・デジタルシフトを推進し、社員がより生産性の高い業務を行える仕組みを構築する必要があります。

不動産賃貸業界の規制と法的課題

法律や規制の変更は、不動産賃貸業の経営に直接影響を与えます。

法改正の影響と対応策

不動産業界は、法改正の影響を受けやすく、特に賃貸管理業では、管理業法などの制定により、会社に求められるレベルが向上しています。

  • 重要事項説明のオンライン化電子契約の検討など、デジタル改革関連法案への対応が進んでいます。
  • 最新情報の把握
    常に最新の法改正情報を確認し、業務プロセスへの影響を分析し、契約書の見直し社内マニュアルの改定など、具体的な対応策を策定することが重要です。

コンプライアンスの重要性

コンプライアンスの遵守は、企業の信頼性を高めるために不可欠です。

  • 従業員への教育
    法的リスクを理解し、従業員に対する教育や研修を定期的に行うことが重要です。
  • 早期の問題発見
    内部監査を実施し、コンプライアンス状況を確認することで、問題点を早期に発見し、改善に繋げることができます。

まとめと今後の展望

不動産賃貸業は、人口減少や市場の飽和といった大きな課題に直面し、今や衰退期にあります。しかし、この変革期は、競合他社と差別化を図り、成長を掴むチャンスでもあります。

今後、賃貸管理業界で生き残り、持続可能な成長を実現するためには、以下の戦略が不可欠です。

  1. 管理戸数拡大への徹底的な注力
    業界平均を上回るペース(目安として110%以上)で管理戸数を伸ばし続ける。
  2. オーナー営業体制の構築
    オーナー営業を専任化し、既存・新規オーナー様への提案活動を強化する。
  3. DXの導入と生産性向上
    CRMシステムなどを活用し、業務を効率化することで、サービス品質を向上させる。
  4. トータルサービスの提供
    高齢者向け住宅やリノベーションといった成長分野に注力し、オーナー様の多様なニーズに応えるワンストップサポート体制を構築する。

変化を恐れず、これらの戦略を地道に、かつ徹底的に実行していくことが、皆様の会社の未来を切り拓く唯一の道です。船井総研は、管理拡大からDX推進まで、トータルで皆様の経営をサポートいたします。

 

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執筆者 : 船井総研 住宅・リフォーム・不動産支援部

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