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契約不振は競合負け?競合対策で最低限知るべき3つの情報と競合対策事例から学び取れること

今年2024年の住宅営業のトピックスは競合対策です。その背景にあるは集客減少です。昨年よりも集客が減ってる状況で、昨年と同様の契約数を確保するためにも契約率がカギになります。集客が増えない見込みの中、昨年以上の契約数を確保するには、契約率を上げるしかありません。その契約率を上げるキーワードのひとつが競合対策なのです。会社としては、契約率が低い営業にボランティアのごとく案件を振り分ける余裕はありません。必然的に契約率が高い営業担当者が対応することが多くなります。

実際に直近では、リーダーや店長、営業課長といった肩書きを持つ競合先の担当者に失注する機会が増えてきました。船井総研で過去3年間の商品単価2,000万円の注文住宅を売る営業1人当たりの年間契約数、契約率、契約日数、新規商談数の4項目の平均値を調べたところ、2023年の年間契約数は5.1棟、契約率は15.5%、契約日数は39日、月間新規商談数は2.8組でした。一方で、年間12棟以上売る営業1人当たりの平均値は契約率で23.9%、契約日数は35日、月間新規商談数は4.2組でした。当然ながらトップセールスは4項目すべてで平均より数値が高い結果でしたが、注目すべきは月間新規商談数で、トップセールスの方が1.5倍も多かったということです。因みに、3年間の推移を見ていくと、全体の集客数が減少しているので新規商談数も減ってはいますが、トップセールスの減り方は緩やかでした。ということは、それだけトップセールスの商談が増えているのです。

不動産営業は同じ物件をそれぞれで売りますので競合を意識しますが、住宅営業はそこまでではありません。これまでは他社を知らなくても契約が取れていましたが、その意識のままでいると他決が増えていくでしょう。そこで今回のコラムでは、競合対策で最低限知るべき3つの情報と競合対策事例から学び取れることについて一緒に考えていきましょう。

トップセールスの商談数を増やすために取り組むべきこと

集客が増える見込みが厳しい状況で、契約を増やしていくために今すぐできることのひとつは、とにかくトップセールスの商談数を増やすことです。つまり、例えば年間12棟売る営業担当者に1.5倍の18棟売ってもらうにはどうするべきかを会社として考えて、その体制を構築することです。それは集客を増やすというより生産性向上です。生産性向上と業務の効率化という2つの言葉が混在して使われるケースが散見されますが、業務の効率化は生産性向上のための施策の1つですので最終的にはつながりますが、生産性を向上することは、生産物をより多く生み出し投入資源をより少なく抑えることであり、業務効率化とは、業務を見直してムリ・ムダ・ムラを改善することです。もっとわかりやすい表現をすると、生産性向上とは営業3名で30棟契約をしていたのを、営業3名で50棟契約を目指すことで、業務効率化とは、現場監督2名で30棟の物件を管理していたのを、現場監督1名で30棟の現場を管理できるようにすることです。

住宅営業においては、商談から契約、契約から着工までの業務フローの見直しや、それこそDX(デジタルトランスフォーメーション)が必要です。なぜなら、売る営業担当者ほど契約見込み案件を抱えているので新規客への対応が難しく、トップセールスの新規商談を増やすことの障壁となります。その部分の仕組みを変えることにより1組でも多くの新規商談を行えるようにすることです。

「DXなんてまだうちには早い」と思われているかも知れませんが、早いとか遅いとかはありません。例えば、このように契約率の高い自社のトップセールスの商談件数を増やして契約数を増やすために商談に注力できる環境を整備するのがDXの役割です。DXという言葉の性質上、デジタルの方に注目しがちですが、大事なのはデジタルではなくトランスフォーメーション(変革)です。DXとは、データやデジタル技術を活用して競争に勝てるビジネスモデルや業務プロセスへ進化・変革することなのです。

競合対策で最低限知るべき3つの情報

具体的に競合対策で必要なのは「どのような商品(仕様や間取り等)で」「いくらの見積りで提案してきていて」「セールストークでどのようなこと言っているのか」という、商品、価格、売り方を知ることからです。最低限これくらいの情報が入手できていないと対策は講じれません。競合対策に関しては、競合対策に対する意識が強い会社や担当者とまったく意識してない会社や担当者に二極化しています。当然ながら、相手の手の打ちを知らなければ対策はできませんので、まったく意識をしていない会社や担当者は苦戦します。但し例外もあって、契約率30%を超える場合は逆に意識していません。なぜなら競合が入り込む前に先行逃げ切り型で契約を決めているのと、そもそも自社が初めてのお客様をわざわざ競合に行かせることなく契約を決めているからです。

契約率が一桁の場合はまったく競合他社を意識していません。意識どころかどの会社と競合しているのかも、ヒアリングできていないので把握していません。聞いたのに競合先を教えてくれないのだとしたら、それは商談でお客様との関係性を築けていないからです。だから売れないのは火を見るよりも明らかです。たまたま相手のミスで競合が外れることもありますが、それはたまたま(ラッキー)です。お客様を知ること。そのお客様が検討している競合先も知ること。そして次の商談までに準備(対策)を行うこと。これが営業の事前準備と競合対策です。

このようにこれまでは売れない原因は「自社の営業担当者の説明が下手だったから」と自社目線で語られることが多かったですが、今はそれにプラスして他社の営業担当者はどうだったのか?という他社目線も必要です。そのためにロープレも、アプローチブックなどの営業ツールを使って一通り話せるようになるだけでは不十分で、商談を想定した実戦形式のロープレも合わせて行わなければなりません。野球で例えるなら、ロープレが素振りやバッティング練習だとしたら、実践ロープレは練習試合です。

3社の競合対策事例から学び取れること

それでは3社の競合対策事例をお伝えさせていただきます。A社では、営業担当者と設計担当者が協力して、年に1度、競合商品対策プロジェクトを社内で立ち上げて行っています。年に1度の理由は、毎年新しい商材が発売されますので、正直なところ3年前の情報では古すぎるからです。行うタイミングとしては、自社が新たな自期を迎える遅くとも3ヶ月前からスタートさせるのがいいでしょう。競合商品対策とは、まずは競合する会社の間取りや仕様、見積りを入手して分析を行い、他社の商品を知ることで自社の商品開発に活かすことが目的と、営業担当者もそのプロジェクトにアサインしていますので対策トークを検討します。

B社では、失注したお客様にヒアリングを行って、どの会社の誰が担当で何が決め手になったのかを把握しています。ポイントは、どの会社に負けたのかだけでなく、どの担当者に負けたのかを把握する点です。なぜなら「〇〇工務店に負けました」となったとしてもそれは〇〇工務店という会社に負けたのではなく、担当者に負けた可能性が高いからです。これは自社に対しても言えることで、同じお客様でも営業担当のBさんではなくトップセールスのAさんだから契約が取れたというケースも考えられます。冒頭で2023年の営業1人当たりの契約率は15.5%だったとお伝えしましたが、84.5%は契約できていないということなので、その失敗からいかに次に活かすかが大事です。

C社では、絶対に競合状況が発生するポータルサイトの反響を分析しており、どこの会社と競合しているのかを数値化しています。ポータルサイトの場合、自社だけの指名はほとんどありません。私もその結果を見せてもらいましたが、競合する会社が分散することなくある程度絞られていました。恐らく営業担当者もなんとなくは気づいてたと思われますが、それを見える化することで共通認識に変わります。なので、競合対策は営業個人に委ねるのではなく、たくさんの人の知性を集めるとより優れた知性が登場するという集合知として組織単位で把握すべきです。競合対策を制するものが契約を制するのです。

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