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最新住宅業界動向コラム / 商圏・業績データ

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【住宅業界時流予測vol.1】激変する2024年の住宅業界の3つのトピックス

早いもので今年もあと1ヶ月となりました。12月は今年1年を振り返る機会が多くなってくる季節柄でもあります。少し早いですが今年1年、皆さんの会社はどうでしたでしょうか?会社ごとで決算月が異なるので、業績は決算ごとで見られるかと思いますが、人の行動は1月から12月で動くためマーケティングに関しては、決算ごとではなく1月から12月で把握される方が今の時代を正しく把握できます。

住宅業界的には大きなトピックスはない1年でした。業績の二極化傾向はより顕著になっていますが、今年1年で爆発的に大きく業績を伸ばした会社も実はあまりありません。ただ着実にコロナ禍で種を蒔いたものが実になり、まだ小さいですが花が咲き始めている会社はあります。2020年からの3年間は目に見えて業績が伸びていないかも知れませんが、地道に次の成長の種を蒔いていた会社は、来年びっくりするような大輪を咲かせるでしょう。2023年から2025年までの次の3年間で、業績以上の二極化傾向が表れると予測しています。

上記はちょうど1年前のコラムで、2022年の振り返りを書いた文章を一部抜粋したものです。そう思うと昨年の年末時点と今年の年末時点では、住宅業界全体として大きく状況が変わっていることに気づきます。昨年末は天候に例えると晴れのち曇り、もしくは曇りといった状況だったでしょうか。今は曇りのち雨というのが正しい表現のように感じます。そこで、12月は4回に亘り2024年の住宅業界の時流予測として、1回目の今回は2024年の住宅業界の全体予測。2回目は商品&集客予測。3回目は営業予測。4回目は工務&組織予測とお伝えさせていただきます。それでは、2023年を振り返って、2024年の住宅業界予測についてお伝えさせていただきます。

コロナ前、コロナ禍、コロナ後の住宅業界を振り返って

分析していくときにその時点だけの事象で判断すると、誤った判断をしかねません。コロナ前、コロナ禍、コロナ後の3つの視点で見ていくべきです。住宅業界においても、コロナ前とは2019年までを示し、コロナ禍は2020年から2022年。コロナ後は2023年になります。住宅業界の状況を表すのが、国土交通省が公表する新設着工棟数です。2019年は88万戸。2020年は81万戸。2021年は87万戸。2022年は86万戸でした。2019年10月から消費税が10%に引き上げられたため、そのピークだった2018年は95万戸でした。2020年はコロナが影響で着工棟数が落ち込んだわけではなく、増税の反動と見る方が正しい状況把握だと思われます。野村総合研究所の予測によると、2023年は88万戸で2024年は86万戸、2025年は83万戸と、2023年を期に2040年まで右肩下がりのフェーズに突入していきます。なので、冒頭で曇りのち雨という天候の表現をしたのはその意味です。

もう少し細かく状況を見ていくと、2020年から2023年の4年間は、このままでいくと2021年が最も好調だったと言えます。新設着工棟数はあくまで確認申請がベースになっているので、今現場で起こっていることと少なくとも半年以上はタイムラグがあります。集客期間で見れば9ヶ月以上のタイムラグがあります。そのように見ていくと、2020年は緊急事態宣言が発出された4月から5月にかけて集客は激減しましたが、6月以降はその2ヶ月間の反動もあり、コロナ前と同様に集客は回復していました。なので、きちんと集客策を計画して実行したところは6月以降の集客は改善し、そこから営業をして7月から9月に契約した案件が、2021年に完工しているので2021年の着工棟数が伸びました。実はコロナど真ん中のときにしっかりと費用をかけて積極的に集客活動を行った会社と、行わなかった会社との業績の差が2021年に出ました。

集客数に関しても、コロナ禍以降で最も好調だったのは2021年でした。2022年の着工棟数も2021年比べてさほど落ち込んでいない理由は、2021年の集客が好調だったからです。このように住宅業界は、顧客動向と着工棟数の間にはタイムラグがあります。だからこそ着工棟数という点だけで判断していては誤った判断をしてしまうだけでなく、対策が遅れるのです。

資材価格の高騰が住宅業界に与えた2つの懸念

着工棟数は、2022年より2023年の方が若干増える予測ですが、2023年の年末時点で曇りのち雨という表現をしたのは、2023年の集客が2022年よりも10月時点で1割ダウンしているからです。要は集客が2022年よりも減っているので、このまま行けば2023年から2024年にかけての契約数はダウンする見込みです。ハウスメーカー各社の2023年8月の戸建て注文住宅の受注状況は、12社中8社が減少です。減少している4社のうち1社は16ヶ月連続の減少で、残り3社も5ヶ月以上連続で減少という状況で、期累計では全社で前年割れとなっています。地域密着の工務店ビルダーも契約が前年割れのところが多く、苦境が続ています。

そのような苦境に瀕している会社は、集客よりもむしろ契約率が低下しています。昨年よりも減っているのであれば、なにもしなくても契約率が高くなるのが自然です。にも関わらず、集客も契約率も減少しています。その結果として契約が減少し、これから着工棟数、完工棟数とも減少していきます。契約率が落ちている原因のひとつは、資材価格の高騰による影響です。価格高騰の懸念は2つあります。1つはこれまで同じ商品、同じグレードにも関わらず金額が上がったことにより、営業担当者がお客さまに自信をもって提案できなくなっていることです。それが契約率の減少、ひいては契約数の減少を招いているのです。もう1つは、客層の変化です。単純に販売価格が上がったことで、これまでは建てられていた客層が建てられなくなっただけでなく、これまで対応したことがない客層の対応を余儀なくされ、営業トークが刺さらない。契約に至らないということが起きています。

価格高騰というと利益が真っ先に頭に浮かびますが、適正利益の確保は、会社の承認を得ずに勝手に値引きをする以外は商品開発の時点で解決できます。また利益は、集客して営業して着工して引渡した時点での話ですので、商品が変わったことで客層が変わったのであれば集客を変えなければなりませんし、集客を変えたのであれば営業も変えなければなりません。利益よりも集客と営業に手を打つべきです。

激変する2024年の住宅業界の3つのトピックス

2024年の住宅業界のトピックスは下記の3つです。
・より業績の二極化は進む
・より倒産廃業は進む
・よりM&A(企業間統合)は進む

より業績の二極化が進むことに関しては、決してネガティブに捉える必要はありません。当然、業績が伸びているグループと業績が落ち込んでいるグループとでは、前者のグループに入りたいとこですがその伸びているグループに入るために、業績の二極化はポジティブに捉えるべきです。要は、強者が取るべき戦略と弱者が取るべき戦略は大きく異なるということです。船井総研では、力相応一番化ということ言葉があります。この言葉の意味は、自社が一番になれる土俵を自ら決め、そこで一番になるという根幹となる戦略です。一番になれる土俵とは、特定の客層や自社商圏、商品カテゴリー群がこれにあたります。弱者が取るべき戦略は、物量がものを言う空中戦だけでなく、手厚く、細かく、頻繁にベースとしたゲリラ戦です。

より倒産廃業が進むことに関しても、決してネガティブに捉える必要はありません。当然、倒産も廃業も避けるように経営を行っていかなければなりませんが、需要以上に供給が減ることで残存者利益が明確化します。要は、生き残ることです。着工棟数は右肩下がりで減っていきますが、家を建てる人がいなくなるわけではありません。これまでは特に意識せずともある程度の業績は見込めましたが、今後はどうなるか不透明です。だからこそ、意識して生き残ることです。よりM&Aや企業統合が進むに関しても同じで、ストロングバイヤーは一気に業績を伸ばす構図となりますが、そうしたグループにグループインすることも決してネガティブな経営判断だと思いませんし、反対に状況を見極めて上手に活用するという発想が必要です。大波のように時代の変化が激しいときも、いつも灯台のように自社を正しい方向に導いてくれるのは、目の前のお客さまです。目の前のお客さまから高い支持をいただき続ける。そのために企業として努力をし、成長し続けることが、まだ見ぬ未来への一番の対処法です。

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