CONSULTING COLUMN
最新住宅業界動向コラム / 商圏・業績データ
住宅業界の状況をまとめてみると、2020年、2021年、2022年、2023年と比較して、2021年が最も新規来場数が多く、その次が2020年。2020年4月と5月は緊急事態宣言が発出され激減しましたが、6月以降は好調でした。2022年も落ち込みましたが、今のところ2023年が最も少なくなっています。リーマンショック時を超える勢いで宅会社が倒産していますが、そのひとつの要因となっているのが、2021年で集客した案件が2022年に売上計上した貯金を使い果たしているのが2023年です。
来場者数は右肩下がりのところが多くなっている状況ですが、それを経営者にお伝えすると「営業マンの数が減ったから(これまでどおりの集客をしていない)」と言われることがあります。そもそも人が減るというのは、業績が上がらない原因のトップですので、営業マンの数が減ったから集客を意図的に減らしたのか?それとも集客が増えないから営業マンの数も減ったのか?鶏が先か卵が先かの議論ですが、百歩譲って営業マンの数が減ったから集客が減っているかどうかの正しい見解は、営業マン1人当たりの集客は増えているのか?減っているのか?変わらないのか?です。
営業マン1人当たりの集客が増えている場合のみ、営業マンの数が減ったから集客が減っているという理屈は正しいと言えます。それ以外であれば、集客が減っていることに目をそらしてはいけないのです。不都合な状況に目を背けるのではなく、一旦、置かれている状況を受け止めて、そうなってしまった要因と解決策を考えていくべきです。そこで今回のコラムでは、来場数と契約率とも年々低下していたある工務店がたった3ヶ月で復活した実話をお伝えさせていただきます。
そのような業界全体が厳しい状況下でも、業績好調な会社のパターンは3つに分類できます。①来場数は減っているが契約率が上がっているため契約数は増えているパターン。②来場数は微増しており契約率もキープしているため契約数は増えているパターン。③来場数も増えており契約率も上がっているパターン。③は絶好調企業ですがこの3つの中で多いのは①です。したがって、業績アップのセンターピンは、来場数を増やすことと契約率を上げることのどちらか一方、もしくは両方に絞られます。
来場数が増えている会社に共通するのは、来場コストは下がっているということです。なので、決して広告費を増額しているから来場数が増えているのではなく、来場構造が変わっているのです。具体的に言えば、インサイドセールスが効いています。今は新規来場1組獲得するためのコストは10万円台になっています。例えば、月間の広告費を100万円使って来場10組ということです。一方、来場ではなく新規名簿1組獲得するためのコストは、来場コストの3分の1から悪くても半分です。仮に反響コストが3万円としたら、名簿獲得からの来場率のベンチマークは30%なので、反響からの1組来場獲得するのにかかるコストは、反響名簿5組から来場1組の計算になりますので9万円となります。
これらの試算はリスティング広告からの反響獲得の場合ですが、自然検索からの反響や、反響単価を抑えられるポータルサイトからの反響だと、よりコストは抑えられます。つまり来場数を増やすのではなく、来場数/反響数の来場率を上げることが重要です。
契約率が上がっている会社に共通するのは、売上が上がっているだけでなく契約コストが下がっているということです。契約率が上がっている理由を来場数が下がっていることにしてしまいがちですが、決してそうではありません。コストという視点で見た場合、数はそれほど影響ないのです。数よりも率。率よりもコストで分析すると正しい状況が把握できます。
契約率が上がっている要因は、ある特定の営業マンの契約率が飛び抜けて高いというわけではなく、営業マン全体の契約率が底上げされています。営業マン個人ではなく店舗で見た場合、契約率が20%を超えているとかなり生産性の高い営業活動が行えていると言えます。契約率40%近い営業マンも居れば、契約率が一桁の営業マンも居る状況ではなく、営業マン全員が20%前後の契約率を叩き出しているということです。
そのような状況にするためには、売り方を統一しなければなりません。営業フローを決めて、それぞれの接客時に使うツールを決めて、営業トークを統一する。所謂、チーム営業です。個々が好き勝手な営業スタイルで好き勝手に営業していては、よほどの優秀な営業マンだけが集まった店舗でない限り、店舗の平均契約率で20%を超えることはできません。また、売り方を統一することで、営業組織として改善が図れます。属人化過ぎると、何が良くて?何が良くなかったのか?すら判断できません。判断できないから改善策を講じれず、運任せの営業になってしまいます。それではあらゆる面でリスクが高過ぎます。因みに、契約率が伸びている会社は、インサイドセールスによる来場獲得の割合が多いというのも共通しています。チラシや広告からの直接来場よりも、反響からのインサイドセールスによる間接来場の方が契約率は高くなる傾向にあります。(コラム掲載不要→)来場数と契約率とも年々低下していたある工務店がたった3ヶ月で復活した実話は「続きはこちら」をクリック!執筆者プロフィールはコチラから
2020年、2021年、2022年、2023年と比較して、2021年が最も新規来場数が多く、その次が2020年
2021年で集客した案件が2022年に売上計上した貯金を使い果たしているのが2023年
営業マン1人当たりの集客は増えているのか?減っているのか?変わらないのか?
不都合な状況に目を背けるのではなく、一旦、置かれている状況を受け止めて、そうなってしまった要因と解決策を考えていくべき
業績アップのセンターピンは、来場数を増やすことと契約率を上げることのどちらか一方、もしくは両方
来場数が増えている会社に共通するのは、来場コストは下がっている
来場ではなく新規名簿1組獲得するためのコストは、来場コストの3分の1から悪くても半分
来場数を増やすのではなく、来場数/反響数の来場率を上げることが重要
契約率が上がっている会社に共通するのは、売上が上がっているだけでなく契約コストが下がっている
営業フローを決めて、それぞれの接客時に使うツールを決めて、営業トークを統一する。所謂、チーム営業
チラシや広告からの直接来場よりも、反響からのインサイドセールスによる間接来場の方が契約率は高くなる傾向
ある地域密着の工務店の事例をお伝えします。その会社は5年以上も前にいち早くチラシをゼロにしました。ゼロにした理由は、来場単価が年々悪くなってきていたからです。チラシにかけていた費用をポータルサイトに使いました。当時、ポータルサイトからの反響は3万円を下回っており、月に100万円ほどかけていましたが、少なくとも30組以上の反響があり、またSEO(自然検索)が強く、ウェブ広告を使わなくても来場予約も入って来るという状況でした。
それが直近3ヶ年は来場数が右肩下がり(来場コストは右肩上がり)で、契約率も右肩下がりで3年前は店舗の平均で20%以上でしたが、15%、12%と下がってきていました。さらに、当時使っていたポータルサイトの反響単価は3年前と比べると2.5倍以上になり、反響数自体も減少していたので、そちらを減らして、反響コストを抑えられるポータルサイトの費用割合を増やしました。それも功を奏して、右肩上がりに反響数は増えたのです。
そこで今期からテコ入れしたのは、契約率もテコ入れしたいところでしたが、一先ず契約率と来場率のどちらか一方を上げることができれば業績は伸びますので、シンプルに来場率を上げるということだけに絞りました。第1四半期が終わって結果を見てみると、反響数と来場数は過去最高。来場率も過去最高。来場単価も直近3ヶ年で最も低いという成果を獲得できました。契約はこれから上がってくると思われるので、今期の業績予測では、仮に契約率が上がらず12%のままでも、契約数は増えて目標達成する見込みで、儲けに直結する契約単価も下がっていくと思われます。数はとても大事ですが、数だけに捉われてすぎていると、重要な部分を見過ごす場合があります。数から率。率からコスト。という視点で見ると、業績アップに向けて注力すべき力点が見えてきます。
30組以上の反響があり、またSEO(自然検索)が強く、ウェブ広告を使わなくても来場予約も入って来るという状況
契約率も右肩下がりで3年前は店舗の平均で20%以上でしたが、15%、12%
仮に契約率が上がらず12%のままでも、契約数は増えて目標達成する見込み
数から率。率からコスト。という視点で見ると、業績アップに向けて注力すべき力点