CONSULTING COLUMN
最新住宅業界動向コラム / 商圏・業績データ
本コラムをお読みいただきありがとうございます。船井総合研究所 住宅・リフォーム支援部のマネージングディレクター 日野信です。
地方で住宅会社、工務店、あるいは建設事業を営む経営者の皆様は、常に事業の成長と安定を追求されていることかと思います。
しかし、成熟期に入りつつある住宅業界において、従来のビジネスモデルだけでの持続的な成長には限界を感じている方も少なくないのではないでしょうか。新たな収益の柱を確立したい、少人数でも展開できる新規事業を模索している、あるいは本業とのシナジー効果で事業基盤をさらに強固にしたい――そうした切実な願いをお持ちの経営者様もいらっしゃるでしょう。
一方で、未知の市場に飛び込むことへの不安や、事業性の見通しが立たないことへの躊躇もまた、当然の感情であると拝察いたします。
今日のコラムでは、そのような皆様の課題に対し、具体的な解決策となりうる「コンテナハウス事業」の可能性について、当社のレポート「日本ではブルーオーシャン！世界で急成長のコンテナハウス事業とは？」の内容を基に、詳しく解説してまいります！
住宅建設業界は、長年にわたり日本の経済を支えてきた基幹産業の一つです。
しかし、少子高齢化、新築着工件数の減少といった構造的な課題に直面し、既存事業だけではかつてのような爆発的な成長を望むことが難しくなってきています。経営者の皆様は、このような現状において、売上や利益の頭打ち、あるいは社員のモチベーション維持といった新たな悩みを抱えているのではないでしょうか。
「何か新しいことを始めたいが、何から手をつければ良いか分からない」
「多額の投資や大規模な人員増を伴う新規事業は難しい」
「本業の強みを生かしながら、リスクを抑えて参入できる市場はないか」
このようなお悩みは、決して珍しいものではありません。多くの経営者が同じような課題に直面し、未来へのロードマップを描きあぐねているのが実情です。そして、もし新たな成長の波が押し寄せているにもかかわらず、その存在に気づかずに見過ごしてしまえば、それは大きな「機会損失」につながる可能性があります。市場の動きは常に早く、先行者利益は計り知れません。今、この瞬間に見えている「青い海」が、やがて多くの競合で賑わう「赤い海」へと変貌する前に、その可能性を深く知ることが求められているのです。
こうした課題への強力な解決策として、今、世界的に注目を集め、日本でも密かに市場が成長しているのが、「コンテナ建築事業」です。
コンテナとは、一般的に貨物を輸送するために作られた鉄製の箱状容器のことを指し、このコンテナを使用した建築物のことをコンテナ建築と呼びます。一般的な住宅に比べて安価かつスピーディーに家を作ることができ、解体もかなり容易です。
この事業は、成熟産業である住宅業界において特異的な市場の成長を遂げており、まさに「ブルーオーシャン領域」として位置づけられています。従来の建築の常識を覆すその特性は、貴社が抱える成長の課題に対し、新たな道筋を示す可能性を秘めているのです。
では、なぜ今、コンテナ建築事業がこれほどまでに注目され、貴社にとって魅力的な選択肢となり得るのでしょうか。その圧倒的な優位性を、当社の調査レポートから具体的にご紹介します。
1.世界で急成長する市場規模と日本の「ブルーオーシャン」
世界のコンテナハウスの市場規模は、驚くべきスピードで拡大しています。2021年には8.09兆円、2022年には8.37兆円に達し、そして2029年には12.3兆円まで成長すると予測されています。これは、従来の住宅産業では考えられないほどの成長率であり、その背景には、世界中で建築資材が高騰しているため、手頃な値段で入手可能なコンテナが住居や店舗の利用目的でSNSでも人気を集めているという現象があります。
特に注目すべきは、日本市場の現状です。世界で市場が拡大している中、日本ではまだコンテナハウスは一般的ではありませんが、アフターコロナで需要が増加したこともあり、密かに市場が成長している状態です。これはまさに、貴社にとって「ブルーオーシャン」が広がっていることを意味します。今だからこそ、早期参入による大きな先行者利益を享受できる可能性があるのです!!
2.成長期真っ只中。「今」始めるのが圧倒的に有利
コンテナ建築事業は、いま急成長している市場の一つです。
今、飲食・美容・不動産・福祉…
業種問わず“ある建築スタイル”に注目が集まってます。
理由はシンプル。
「集客しやすい」からです。
SNSで“映える”外観。
店舗デザインの自由度。
話題になりやすく、広告費をかけずに人が集まる。
これが今、マーケティング感度の高い企業に刺さりまくってるんです。
しかも、今この分野はまさに「伸びている最中」。
市場参入のハードルがまだ低いうちに動くことで、競合に先んじたポジションを確保できます。後から参入すると、広告費・土地費用・建築コストすべてが高騰する可能性も。今から参入しておくことで、2年後には圧倒的なアドバンテージを持った事業者になれるかもしれません。
3.驚異的な「工期削減」がもたらす安定経営
コンテナハウスは、コンテナを工場で建設してから現地へ輸送するため、現場で資材をゼロから組み立てていく必要はありません。これにより、施工期間はわずか1～3ヵ月という短期間で完了することが可能です。
構造が単純であり、イレギュラーな工期遅れが無く、工期が短縮されることで事業主側の粗利率がブレないという大きなメリットがあります。これは、無駄なコストが発生しづらく、複雑なスケジュール管理も必要ないため、安定した経営基盤を築く上で極めて重要な要素となります。
4.際立つデザイン性と無限の「カスタマイズ性」
コンテナハウスは、その斬新でユニークなデザインが大きな魅力の一つです。強固な金属感やのっぺりとしたフラットな外壁、シャープな角度や隙間、様々な色味の配合など、コンテナという日常的なモノを建材として使用することで、シンプルながらもダイナミックでスタイリッシュな外観を実現できます。迫力のある住まいや店舗として人気が高まっています。
さらに、コンテナハウスはカスタマイズの自由度が高く、自分だけのオリジナル住宅を作ることができる点も特筆すべきです。特にアパレル・カフェ・リゾートホテル・グランピング施設のようなSNSで人気のコンテンツは見た目を重視するため、店舗の居抜きではなくコンテナハウスを利用する企業が増加しています。このデザイン性とカスタマイズ性は、一般建築物との明確な差別化となり、集客力向上に直結する可能性を秘めています。
5.住居から店舗まで、広がる利用用途の可能性
コンテナハウスは、その構造的特性から、非常に多様な用途に利用されています。当社のレポートによれば、全世界のエンドユーザーの利用用途は、住居が50%、商業用店舗が37%、産業用店舗が13%を占めています。
商業用店舗の用途例としては、以下のような幅広いニーズに応えています。
・事務所
・店舗
・倉庫
・現場事務所
・イベント施設
・医療施設（総合病院内施設）
・自動車販売事務所
・アウトドア施設
・クラブハウス
・調剤薬局
・学習塾 etc
貴社が持つ住宅建築のノウハウは、この「住居」用途はもちろん、商業施設や医療施設といった多様な「店舗」用途にも応用可能であり、事業展開の幅を大きく広げることができるでしょう。
コンテナハウスと聞いて、すぐに思い浮かぶのは港に積まれているコンテナかと思いますが、「あれは日本の建築基準法に適合するのか？」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
ご安心ください、この点についても明確な解決策が存在します。
重要な点は、日本では、港に積まれているような「海上輸送用コンテナ（ISO海洋輸送用コンテナ）」は、日本の建築基準法に合わないため、住居用のコンテナハウスとしてそのままでは利用できないという事実です。国土交通省の「コンテナを利用した建築物の取り扱いについて」によると、地面に設置するコンテナは建築物とみなされますが、ISO海洋輸送用コンテナは建築基準法が定める基準をクリアしていないため建築物として利用できません。その主な理由は、窓やドアのような開口部をあけるとき、強度が極度に落ちること、また世界中の海を何往復する強度はあるものの、鉄の壁を組み合わせた構造であるため、壁がなくなると極度に強度を失ってしまうこと、そして建築基準法が求めるJIS鋼材で造られていないことなどが挙げられます。
この課題をクリアするために必要なのが、「建築用コンテナ」です。
建築用コンテナは、完全にオリジナルで設計・製造され、JIS認定工場で溶接が行われている、JIS鋼材で作られた、日本の建築基準法に則った特殊なコンテナです。製造過程では、使用する主要鋼材の品質をミルシート（鋼材の材質や品質を証明する書類）によって確保し、溶接部分など、製作する工場の技術的な品質管理は、鉄骨工場のグレードや検査体制によって担保されます。
また、建築用コンテナはISO海洋輸送用コンテナと全く同じ寸法（横幅2438mm）で製造されています。実際に、日本のコンテナハウス事業者も、国産と外国産の2種類に対応している場合が多いと聞きます。外国産建築用コンテナは安価であるため、適切な仕入れルートの確保が、コスト競争力に直結します。
コンテナハウス事業のメリットとデメリット
どんな事業にもメリットばかりではありません。デメリットも踏まえた上で、戦略的な検討をしなければなりません。コンテナハウス事業にも、検討すべきデメリットが存在します。
既に完成しているコンテナを設置場所まで運んで建設することと、現地施工を行う事業主が多いため、ある程度のスペースを確保できる場所が必要です。また、コンテナを積んだ車体が通れる道路幅（目安として6m以上）が必要ですが、道路近辺状況にも異なるため、希望の土地で建築できない可能性があります。
さらに、コンテナハウスを設置する際にクレーンで吊り上げる方法が一般的であるため、設置場所付近に電柱・電線があると建築が困難になる場合があります。
そのため、「空いている場所ならどこでも建てられる」わけではないことは理解しておく必要があります。
地域や用途によって、仮設建築物か恒久建築物かの扱いが異なります。また、用途地域の制限などにより設置できないケースもございますので、事前の確認や専門家への相談が重要です。
これらのデメリットは、事前の計画と立地選定、そして顧客への適切な説明によって十分に管理可能な要素です。貴社の持つ土地開発や建築に関する知見があれば、これらの課題も乗り越え、むしろ競争優位に繋げることができるでしょう。
ここまで読んでいただいた経営者の皆様なら、すでに貴社の既存事業との「シナジー」が見えてきたのではないでしょうか。住宅会社や工務店、建設業界の皆様は、既に建築に関する基礎知識、施工管理能力、協力業者とのネットワーク、そして何よりも「土地」を見る目を持ち合わせていらっしゃいます。
コンテナ建築事業は、これらの既存リソースを最大限に活用しながら、新たな収益源を確立できる理想的な新規事業と言えます。
本業で培った「建築」という専門性を基盤に、市場が急速に成長している「コンテナハウス」という新しい商材を展開することで、貴社はこれまでリーチできなかった顧客層や事業領域を開拓し、新たな成長軌道を描くことができるのです。
世界の市場規模が年々拡大し、日本ではまだ「ブルーオーシャン」が広がっているコンテナ建築事業は、まさに今、参入を検討すべき絶好の機会にあります。この機会を逃せば、やがて来るであろう激しい競争の波に乗り遅れてしまうかもしれません。
貴社の持つ建築技術と経験を活かし、低コスト・短工期・高デザイン性を兼ね備えたコンテナハウスという新たな価値提供を始めることで、地域社会における貴社の存在感をさらに高め、持続的な成長を実現することが可能になります。
本コラムでは、コンテナハウス事業の魅力と可能性について、その一端をご紹介いたしました。しかし、この成長市場に本格的に参入するためには、さらに詳細な市場データ、事業モデル、具体的な成功戦略、そしてリスクヘッジの方法論を知ることが不可欠です。
当社のレポート「日本ではブルーオーシャン！世界で急成長のコンテナハウス事業とは？」では、本コラムで触れた内容をさらに深く掘り下げ、事業立ち上げから成功までのロードマップを具体的に示しています。市場の動向、法規制の詳細、具体的な収益モデル、そして成功事例に至るまで、貴社がこの新しい事業に安心して参入するための貴重な情報が満載です！
ぜひこの機会にレポートをダウンロードいただき、貴社の未来を拓く新たな一手として、コンテナハウス事業の可能性を最大限に引き出すための第一歩を踏み出してください。
貴社のさらなる発展を心よりお祈り申し上げます。
